キセキの葉書 2017-11-04
解説
阪神・淡路大震災から半年後の兵庫県西宮市を舞台に、重度の障害がある娘と認知症とうつ病を併発した母親を抱える主婦の姿を描いたドラマ。脇谷みどりの著書「希望のスイッチは、くすっ」を、ジャッキー・ウー監督が映画化した。遠方に暮らす母を励ますために葉書を送り続けた主人公を、タレントで女優の鈴木紗理奈が熱演し、マドリード国際映画祭で最優秀外国語映画主演女優賞を受賞した。共演に、申芳夫、雪村いづみ、赤座美代子、亀井賢二らが名を連ねている。
あらすじ
阪神淡路大震災の半年後。原田美幸(鈴木紗理奈)は夫・和成、長男・勇希、脳性麻痺を持つ重度の障害児である長女・望美と兵庫県・西宮にある巨大団地に住んでいた。美幸は介護と子育てに追われる生活に困難を感じ、20年も会っていない実家・大分の母、門倉喜子に手助けを依頼する。しかし、きつい言葉で自分の生き方を厳しく断じられ、美幸は二度と母親には頼まないと決意する。美幸は、見た目は元気だが不眠と摂食障害に悩む仮面鬱を患うが、娘の病気のせいで自分は不幸になったと考えていた自分の無思慮さに気付き、自分らしく生きようと、昔からの夢であった児童文学作家への道を探り始める。そんな時、大分の母が認知症と鬱を同時に発病していることが発覚するが、父には帰郷することはできないと告げる。イギリス留学を経る教授への道を推薦された和成が自分の留学中に大分に帰ってはどうかと勧めるが、美幸は自分の中に“望美に対して冷たい母”に対する憎悪があると気付く。しかし、気持ちの明るくなる便りをハガキにして毎日送ろうと思いつく。最初はハガキに興味の無かった喜子も便りを楽しみにし始めるが、病状は一進一退を繰り返し、ついに自殺未遂を起こす。美幸は自分が望美を通して母としての生きがいを得たように、ハガキで母という面に強く呼びかけ始める。喜子は美幸のメッセージによって少しずつ回復し、二年後、完治する。美幸は夢を叶え、本を出版し、和成も帰国する。さらに美幸の両親も会いに来てくれ、苦難を乗り越えた一家に笑顔が戻る。