ナンミン・ロード 1992-06-13
解説
内山安雄の同名小説を五十嵐匠が脚色・監督。北原陽一が共同で脚色にあたっている。祖国を捨て日本に渡ってきたベトナム人青年が見た日本の姿とは…。
親友のトクとヨンは祖国ベトナムから憧れを持って日本に逃げてきた。難民センターを抜け出した二人は警官ともみ合いになり、トクは奪った拳銃で警官を撃ってしまう。九年後、トクは外国人登録証を持たない幽霊難民として下町の鋳物工場で働いていた。恋人のキムはアメリカ移住の夢を叶えるため水商売で金を稼ぎ、トクの妹は日本人の青年と交際しながら大学検定試験合格を目指している。ある日、トクはヨンと九年ぶりに再会するが、ヨンは悪の道に手を染め変わり果てていた。ヨンが組から預かった金を奪われ、トクは彼を救うべく妹の入学資金を渡す。
あらすじ
1980年、夏。ベトナムから日本に逃れてきたトク(14歳)とヨン(12歳)は、慣れない土地で肩を寄せ合って生きていた。ある日、難民センターを抜け出した2人は、彼らを追う警官と揉み合った末、トクは思わずその警官の拳銃で、警官を撃ってしまう。9年後、下町の鋳物工場で不法就労のアジア人達と共に働くトクの姿があった。3K仕事に勤しむトクだったが、彼にはそんな辛さを忘れさせてくれる恋人のキムと、大学進学を夢見てOL生活に励む実妹のランがいた。ランは働きながら密かにボランティアの日本人青年・池上との恋を育み、進学のための大学検定試験の勉強に励む毎日。キムは水商売に手を染めながらも、より良い明日を信じて生きる逞しい女。彼女の夢は、自分の体の半分を流れている未だ見ぬ父親の住むアメリカにトクと移住すること。しかし、トクにはキムのその願いをかなえることは出来なかった。彼は、9年前の事件以来、難民センターから行方をくらました外国人登録証を持たない幽霊難民だったのだ。そんなある日、トクはヨンに再会する。ヨンはすっかり変わっていた。大きなチャンスをつかもうと悪の道に手を染めていたのだ。難民という肩書きを背負う彼らに、次々と襲いかかる苦悩。そんなある日、組から預かった金をスラれてしまうヨン。彼を助けるべくトクは、ランが大学入学のために貯めた金を渡してしまう。だが金を盗んだのが組織の罠であることを知ったヨンは、金を取り戻すが、それによって組から追われることに。トクの目の前でヨンは組員の銃弾に撃たれて、若き生命を散らせていくのだった。