鯉名の銀平 1961-08-27
解説
長谷川伸の戯曲『雪の渡り鳥』を「不知火檢校」の犬塚稔が脚色し「濡れ髪牡丹」の田中徳三が監督した。撮影は「桜田門」の武田千吉郎。1954年の森一生監督・大谷友右衛門主演版に続き二回目の映画化となる。
かつて大鍋一家のために働いていた鯉名の銀平、今では堅気となり弟分の卯之吉と船大工として働いている。銀平は駄菓子屋の五兵衛の娘お市に惚れていた。ある日、帆立一家が縄張りを狙って横車を押してきた。銀平は帆立一家に単身乗り込むが、決闘場所に現れたのは、お市と祝言をすませたばかりの卯之吉だった。嫉妬に狂う銀平だったが、卯之吉を危機から救うと姿を消してしまう。四年後、下田に帰ってきた銀平が目にしたのは、帆立一家に邪魔をされながらも商売を続ける卯之吉とお市の姿だった。
あらすじ
鯉名の銀平は、かつて大鍋一家では相当に売りこんだ顔だったが、今では、仲のよい卯之吉とともにかたぎになり、船大工として働いていた。二人は、駄菓子屋の五兵衛の家にで入りしている間に、彼の娘お市に惚れるようになっていた。銀平はお市の気持をたしかめようとしていたが、彼女ははっきりした返事をしない。下田港の縄ばりをねらって、親友丑松を先頭に帆立一家が横車を押してきた。しかし、大鍋の親分は、かたぎになった今ではと、子分どもを押さえた。五兵衛は単身なぐりこもうとするが、これを知った銀平は一足先に帆立一家に向った。決闘の場所へ卯之吉が姿をみせた。彼はお市と祝言をすませてきたのだ。銀平は嫉妬に狂ったが、危い卯之吉を救って姿を消した。--それから四年、まだお市のことを忘れられない銀平は、下田に帰ってきた。大鍋の親分が死に、今は下田一帯、帆立一家がわがもの顔にのさばっていた。銀平は、五兵衛のあとをついで商売をしている卯之吉と、お市を物かげから見た。その時、帆立の子分が現われ、店をこわして帰っていった。表に出たお市は銀平を見つけた。この二人を見た卯之吉は、嫉妬から帆立一家にかけこみ斬りこんだ。が、しくじって海中にとびこむ。銀平がかけつけ子分どもを斬り払った。そこへはいあがった卯之吉が丑松を倒した。銀平は目明しの姿を見ると、丑松殺しの卯之吉の非を引きうけ、お縄をうけた。俺が犯人だという卯之吉を、銀平は手で制し、幸せに暮しなといって引かれていった。