よみがえりの島 2016-08-20
あらすじ
沖縄。吉岡(川瀬陽太)は妻・ミチル(朝倉ことみ)の念願であったゲストハウスの開店準備に追われていた。新婚旅行以来4年の月日が流れていた。かりゆし姿のミチルは笑顔で幸せ一杯。吉岡は匂い袋を握り締め、終わりがこないで欲しいと願っていた……。5年前。売れない作家・吉岡は官能小説で食いつなぎながら、カルチャースクールのバイトで実践小説講座の講師をしていた。ミチルは、吉岡が教えていたスクールの生徒であり、彼の熱烈なファンであった。ミチルの誘いで飲みに行き急速に仲が深まる二人。やがてミチルは小説家の夢を諦め、妻として吉岡を支える道を選ぶ。ミチルは夫の才能を信じて疑わず、保険の外交員として応援し続けた。数年後。夫婦生活は冷え、ミチルは夫の浮気も感じていたが耐えていた。そんなある日、営業先でセクハラを受けたミチルが帰宅すると相変わらず吉岡は酒を飲んでいた。ミチルが吉岡の生活態度を罵ると、彼は捨て台詞を吐き家を出ていく。吉岡は、当時スナックのママ・マキ(真木今日子)と関係があり、ミチルとは違う肉感的な魅力に溺れていた。マキの部屋に居候して数ヵ月後、マキから奥さんの所に帰るように言われる。彼女には男がおり刑務所から出所してくると聞かされ、吉岡は一目散に逃げ出す。吉岡が帰宅するとミチルは優しく迎え食事を作る。ミチルの愛を痛感した吉岡は改心し執筆に没頭。新婚時代のムードが戻り生活は一変する。小説が完成し知り合いの編集者・岡本(小鷹裕)に渡す。やがて新人文学賞にノミネートされ、受賞。順風満帆な生活が二人に訪れる。受賞記念に「あの島」に行こうと吉岡はミチルに提案する……。島のスナックのママ・明恵(和田光沙)は泥酔した吉岡の話に耳を傾けていた。妻とゲストハウスを経営する予定だったが、自動車事故で死亡したという。カウンターで寝ている吉岡を起こして寝室へ連れてゆく明恵。事後、布団の中で明恵は、島の裏側の御神崎灯台付近が霊場で、奥さんに会えるかもしれないと教え匂い袋を渡す。灯台の付近をミチルの名を叫び歩き回る吉岡は。匂い袋を海に捨てようとするが思いとどまり車に戻る。すると「先生」と吉岡を呼ぶ声が聞こえる。助手席にミチルが座っていた……。ゲストハウスはオープンを控え二人は甘い幸せな日々を送っていた。そんなある日、海辺でミチルが別れの時が来たと告げる。吉岡は匂い袋の香りが消えかけている事に初めて気が付くのだった……。