BEAT 1998-09-15
解説
舞台演出家・宮本亜門が監督し、返還前の60年代沖縄を舞台に描いた青春映画。主演は真木蔵人と内田有紀。1960年代・米軍統治下の沖縄。風来坊のタケシは、かつての恋人ミチの勤める米兵相手のバー“SEKAI”でバーテン兼用心棒として働いていた。ミチには黒人兵にレイプされた過去があり、マリアという混血の私生児を出産。その事件がもとでタケシとミチは別れてしまった。しかしある日、不思議な力を持つ少年と偶然出会ったタケシは少年の力で再びミチとよりを戻すことに成功したが……。
あらすじ
米軍統治下におかれていた、60年代のOKINAWA。いつの間にかこの地に暮すようになっていたタケシは、かつての恋人・ミチの勤める米兵相手のバー・SEKAIでバーテンダー兼用心棒として働いていた。ミチは、黒人兵士にレイプされた過去を持ち、その時妊娠したマリアを出産。そして今、未婚の母となった彼女は、逃げ出したタケシの代わりにマリアの父親になってくれる黒人の男を探している。ある夜、灯火管制訓練を照明弾を打ち上げて邪魔したタケシは、空から落ちてきた少年と出会う。タケシを兄のように慕い、彼の後ろをついてまわる少年には、ゴキブリを退散させるという不思議な力が備わっていた。その力で金儲けに成功したタケシは、いつしかミチとよりを戻すようになり、少年とマリアの4人で暮すようになる。やがて、ベトナム戦争が激化すると共に、OKINAWAも大きく揺れ始めた。SEKAIは本国から送り込まれてくる兵士たちのお陰で毎晩のように大賑わい。タケシとミチは大金を掴み、明るい未来を夢見るようになっていた。ところが、ミチに想いを寄せる米兵でタケシの親友・ライアンが、ミチの気持ちを無理矢理惹こうとマリアを誘拐したのである。マリアを取り戻すべく、ライアンの後を追うタケシであったが、彼の目の前でマリアはライアンに傷つけられてしまうのだった。マリアを助けられなかったことで深く傷ついたタケシは、その日を境にミチたちの前から姿を消し、OKINAWAから逃げ出すことを考えるようになる。そして、時の首相・佐藤総理大臣が訪沖した日、遂に彼はOKINAWAと別れを告げようとする。そんなタケシに再会したミチは、彼が再び自分の前から逃げ出すのを責めた。「幸せよね、いつも逃げられる人は。でもね、自分からは逃げられないよ!」 だが、そんな言葉を浴びながらもタケシはミチとは違う道を歩き出そうとする。その時、少年とマリアが打ち上げた照明弾が夜空を彩った。それぞれ違う場所で同じ光景を見上げるタケシとミチ。彼らの目には、同じ未来が映っていた…。