ハリヨの夏 2006-10-14
公開:2006-10-14/製作:2006年
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解説
京都を舞台に、思春期の少女の揺れ動く心情をみずみずしいタッチでつづる青春ドラマ。背中のトゲで身を守り、清流にしか棲まない魚ハリヨの生態をなぞりながら、多感な少女のひと夏の成長をつづる。監督には新鋭女流監督の中村真夕、不器用なほどまっすぐに生きようとするヒロインに映画初主演の於保佐代子、彼女を見守る同級生役を新人の高良健吾が好演。団塊世代の両親にふんした風吹ジュンと、柄本明の存在感が物語に深みを与えている。
あらすじ
父(柄本明)がハリヨをくれた。オスが卵を育てる魚だ。私は京都に暮らす高校3年生の瑞穂(於保佐代子)。父とは別居中で、母(風吹ジュン)と妹と暮らしている。同級生の翔(高良健吾)は、キスを迫っても、潔癖だからか、何もしない。母親の働く居酒屋で、どこか翳りのあるアメリカ人チャーリー(キャメロン・スティール)に会う。彼はベトナム戦争で片脚を負傷し、離婚して娘がひとりいる。私と同じ孤独感を持つチャーリー。私たちは、結ばれる。そして、妊娠。チャーリーも母も堕ろすことしか頭にない。でも結局、私と母で赤ちゃんを育てることになる。そのころハリヨのオスは息絶える。死骸を戻すため、赤ちゃんを抱いて川に行く。少し進むと、急になった川の流れに脚をとられてしまう。懸命に水の中でもがく。そうしているうち、私は生まれて初めて泳いでいた! 落としてしまった赤ちゃんも、無事に腕の中に取り戻す。私は自分の力で生きていける。娘と一緒に生きていこう。散歩中、翔とばったり出くわす。大学生になった翔は、まぶしくもあり、幼くも見える。話が続かなくなった私たちは、別々の方向へ、進む。私は、赤ちゃんと一緒に、胸を張って歩きつづける。