紫式部 源氏物語 1987-12-19
解説
グループ・タックや監督の杉井ギサブロー以下、85年の映画『銀河鉄道の夜』のスタッフが製作した日本古典文学原作の劇場用アニメ。キャラクターデザインや作画監督には『とんがり帽子のメモル』の名倉靖博が参加している。女御・藤壺に亡き母の面影を偲ばせる桐壺帝の第二皇子・光源氏。藤壺は源氏の子供を宿してしまう一方、源氏の正妻である葵上も懐妊した。だが葵上が息子・夕霧を残して他界。やがて源氏は右大臣家によって追放されることに。
あらすじ
美貌と才知に恵まれた光源氏は父・桐壷帝の計らいにより、臣下に身を置いていた。源氏は持って生まれた美貌のため、数多くの女性から慕われていた。愛しくも複雑な過去を持つ夕顔、六歳年上で一人娘のいる六条御息所、正妻の葵の上。しかし、光源氏がもっとも心を痛めていたのは、桐壷帝の妻であり義母の藤壷への想いだった。秋に光源氏は藤壷の姪で祖母に育てられていた少女の紫を引き取った。自然の中でのびのびと成長した紫は都の女にはない魅力を持ち、その面差しはどこか藤壷に似ていた。やがて藤壷が懐妊したが、生まれた男の子は光源氏と瓜ふたつであった。桐壷帝は光源氏に若宮の行末を頼んだ。光源氏は桐壷帝の第二皇子に当たるが、第一皇子東宮の母・弘徴殿の女后は東宮の立場が危うくなるのを恐れ、譲位を早めるべく策動を始めた。その頃、光源氏の前に新しい女が現われた。源氏はそれが兄・東宮の后となる朧月夜とは知らずに近づいた。桐壷帝は譲位し、朱雀帝の世となった。葵の上は、光源氏の子を出産したが、不幸にも物の怪につかれた六条御息所は葵の上を殺してしまった。御息所は自らの所業を悔い、伊勢の斎宮となり都を離れた。また桐壷院が亡くなり、藤壷は尼僧となった。光源氏のもとから女性たちが静かに去っていく。光源氏は心の安らぎの場所を女性に求めていたので、何かしら得体の知れぬ不安に襲われていた。光源氏は女性を求めようとするとき、いつも桜の花びらの舞う幻覚をみる。今、光源氏のもとに残っているのは、美しい女性へと成長した紫と帝の篭姫となった朧月夜だけだった。しかし、ある日朧月夜との逢う瀬が右大臣に見つかり、光源氏は弘徴殿の大后の策謀により須磨へと流されてしまった。光源氏は財産の全てを妻の紫の上に譲り流浪の身となるが二人の心は一つに結ばれたのだった。