鍵がない 2005-10-08
あらすじ
ある雨の日、美沙子(つぐみ)は電車を降りると、雨が降っていた。駅の階段で雨宿りしていると、一年前に別れた彼のことを思い出す。別れてしまった彼、良介(大森南朋)との出会いが、ちょうどこんな雨の日だったのだ。「傘、ないんですか?」。良介の幼い娘・日菜(小栗万優子)が美沙子に声をかけ、3人は一緒に帰った。それが出会いだった。今の美沙子には、差し伸べられる傘はない。雨に打たれながら、あの日、一緒に帰った道を走りながら帰る美沙子。家の前に着き、鍵を開けようとすると、なんと鍵がない。修理屋さんに電話をするけれど、夜は作業ができないからと断られるし、友だちにも連絡がつかない。仕方がなくカフェに入って晩ご飯を食べていると、隣のテーブルには何やらカップルが座っている。別れ話を切り出すOL、まゆ(藤真美穂)と、格好いいけどうだつのあがらなさそうな淳(高野八誠)がいる。思わず聞き耳を立ててしまう美沙子。そのとき、良介に家の鍵を預けていたことを美沙子は思い出す。美沙子はまだ、良介のことが忘れられなかった。携帯電話の電源も切れてしまい、鍵をきっかけに思い切って公衆電話から良介に電話する美沙子。でも、そこには良介の新しい恋人、典子(目黒真希)がいた。とっさに「彼氏のところに泊めてもらうから、大丈夫」と嘘をついてしまう美沙子。電話を切った後、行くあてもない美沙子はまたとぼとぼと街をふらつく。人気のなくなった商店街には、売れないミュージシャン、斉藤(金剛地武志)がいた。座り込んで動かない美沙子に曲をプレゼントするけれど、美沙子は上の空でその場を立ち去ってしまう。その横には、さきほどのカフェで隣り合わせたまゆがいた。そしてまゆは、斉藤の曲を聴いて勇気づけられるのだった。良介の家に向かうバス停には、カフェにいた淳が座っていた。美沙子は落とした百円玉をきっかけに話をしようとするけれど、彼の前に、まゆが現れる。美沙子の百円玉を持ったまま、ふたりは夜の闇に消えてゆく。またひとりぼっちになってしまった美沙子の前を、バスが通り過ぎる。そのバスに、美沙子は思わず乗り込んでしまう。