南太平洋波高し 1962-01-09

公開:1962-01-09    old
 

解説


 「海峡、血に染めて」の棚田吾郎と「悪魔の手毬唄」の渡辺邦男によるオリジナル脚本をもとに渡辺自身がメガホンをとった。「悪魔の手毬唄」に引き続き撮影は渡辺孝、音楽は山田栄一が担当している。神風特攻隊と回天隊を描く戦争映画。
 第二次世界大戦末期。日本軍はいくつもの戦線で敗北を喫し、日本本土進攻をもくろむ敵軍に備え特攻作戦の準備を進めていた。予備仕官上がりの三好少尉も特攻隊として九州三楯の海軍航空基地を出発したが、エンジンの不調により帰還したため上官や同僚から「敵前逃亡だ」と罵られてしまう。耳を貸さない三好に激怒する結城少尉だったが、やがて二人は厚い友情で結ばれる。一方、マリアナ沖で九死に一生を得た三好の同期の陶山少尉は、人間魚雷“回天”に乗ることが決まり、三好に別れを言いに来た。だが翌日には三好にも特攻出撃命令が下されるのだった。

あらすじ

九州三楯の海軍航空基地には特攻隊が編成されていた。折しも司令官渥美大佐をはじめ、結城少尉等が飛びたったばかりの特攻隊の戦果を待っていた。そこへヨタヨタ帰還してきた一機。予備士官あがりの三好少尉だ。発動機不調!の声に耳もかさず、「敵前逃亡だ」と罵る上官、同僚達。そんな中にあって三好は平気な顔だ。三好は今までこんなことが二回あったのだ。皆の気持もわかるが、帰ったばっかりに、卑怯者呼ばわりをされるのを嫌って、エンジン不調のまま海に突っこんだ友達のように犬死は決してしない主義なのだ。彼は同僚とか教官からは、お前の体の中にはヤクザの血が流れているといわれていた。することなすことがヤクザっぽいのである。気性が軍隊に反発するのだ。一方、三好と、同期の陶山は、マリアナ沖で九死に一生を得、故郷に帰って来ていた。回天乗組員の陶山は、恋人洋子にも会わずに発つつもりであったが、九州で会った三好の諭しで洋子とも会い楽しい一時を持つことができた。三楯の基地を、或る日敵機が襲って来た。その時、子供をかばって三好は怪我をした。そんな三好に芸者の寿美栄は好意を持った。喧嘩相手の結城も見舞にやって来た。翌日、再び敵機が襲って来た。大国少佐、三好、結城の三人が飛びたった。十六対三の空中戦。十機を撃墜して敵機を追い払った三人は地上でしっかと手を握りあった。大国も教え子の二人が腕をあげているのに満足そうだった。その晩陶山が三好に別れを言いに来た。回天と共に潜水艦に乗るのだ。翌日、三好たちにも特攻出撃命令が発令された。大国少佐以下二十五機。沖縄沖に飛びたった。沖縄沖では、すでに回天攻撃が始まっていた。そこへ上空から、大国の率いる特攻隊が現われた。三好は傷ついた結城をかばって奮戦。結城におそいかかる敵機を次々と撃ち落した。結城は、三好ににっこり手を振りながら敵艦に突っこんでいった。大国少佐と三好少尉は、突撃する特攻機に襲いかかる敵機を射落しながら、奮戦した。然し、二人の機も傷を負った。大国は三好と最後の挨拶を交わすと、まず大国機が敵艦に体当りしていった。三好もそれを横目でみながら敵艦に自分の機を向けた--。数え切れぬほどの若人の命をのんだ海は、今、戦闘の終結と共に次第に静まりかえっていった。

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