四十九日のレシピ 2013-11-09
解説
NHKドラマとしても放映された伊吹有喜原作の小説を、『ふがいない僕は空を見た』などのタナダユキ監督が映画化した感動作。母が亡くなりそれぞれに傷を負いながらも、四十九日までの日々を過ごす間に再生への道を歩み始める家族の姿を描き出す。主人公に、『八日目の蝉』で高い評価を得た永作博美。その父親を石橋蓮司が演じ、二階堂ふみや岡田将生ら若手俳優も共演を果たす。新旧の演技派俳優が豪華共演を果たした繊細な人間ドラマが心に響く。
あらすじ
人生の晩年を迎えて突然、妻・乙美の死によって独り残された熱田良平(石橋蓮司)は、この先どうしたらよいのか見当もつかず、畳の上に呆然と寝転がっていた。そこへ、派手なファッションの女の子、井本(二階堂ふみ)が訪ねてくる。自ら“イモ”と名乗る彼女は、ズカズカと上がり込むと、乙美が生前に作っていた“暮らしのレシピ”カードを取り出し、“これ、やろう!”と告げる。開いたそのページには、“四十九日のレシピ”の文字が。一方、判を押した離婚届と結婚指輪を残して、自宅を出る百合子(永作博美)。気持ちが沈んだまま実家に着いた彼女は、父・良平とイモが一緒にいる様子を見て面喰う。だが、彼女は依存症の少女たちの更生施設でボランティアをしていた乙美の元生徒だった。乙美から、自分が死んだら良平と百合子を手伝って、みんなが楽しく飲み食いする“四十九日の大宴会”をしてほしいと頼まれていたと言うのだ。百合子は、離婚を考えていると父に打ち明けるが、その気持ちは揺れる。愛人(内田慈)との間に子どもまで作った夫の浩之(原田泰造)も、“どちらかを選べない”と逃げていた。イモとともに訪れた朝市で、浩之の好物イワナを見つけた良平は、それを届けて一緒に話をしようと思い立つ。だが、愛人とその子と一緒にいる浩之の姿を目の当たりにして、声をかけられないまま戻ってくるのだった。“やるぞ、四十九日の大宴会!”百合子と自分自身を励ますように宣言する良平。イモは、助っ人に日系ブラジル人のハル(岡田将生)を連れてくる。乙美がパートをしていた自動車工場で働いていた青年だ。こうして、乙美のレシピ通りに家を整理して準備を始めたものの、大宴会で何をしたらいいのかわからない。百合子は乙美の“人生の年表”を作って貼り出すことを提案。だが、出来た年表は空白だらけ。四十九日まであと少し。良平と百合子は、乙美の人生を辿り始めるが……。