きつねと私の12か月 2009-01-10 LE RENARD ET L'ENFANT
解説
アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門受賞作『皇帝ペンギン』の世界的大ヒットで、一躍有名になったリュック・ジャケ監督初の長編フィクション。モンブランを臨む山岳地帯で育ったリュック監督自身の実体験をベースに、野生のきつねと少女の触れ合いを描く。ドキュメンタリーの名手ならではの視点で、森の動物たちの姿や大自然の四季を活写。単なる感動ドラマにとどまらない、温かくもほろ苦いクライマックスまで目が離せない。
あらすじ
秋。少女リラ(ベルティーユ・ノエル=ブリュノー)は学校からの帰り道、森の小道で1匹の美しいきつねを見つける。しかしリラが近づくと、きつねは森の中へ消えていった。その日からリラはきつねを探し続ける。冬。雪に残るきつねの足跡を見つけたリラの耳に、獣の咆哮が聴こえる。顔を上げると、遠くの崖の上に2匹の狼が歩いていた。それに気を取られたリラは前方の崖から落ち、足を骨折する。春。足が治ったリラはきつねの巣穴を見つける。中を覗くと子狐がいた。翌朝リラが再び巣穴を訪れると、きつねが子狐を加えて出てきた。人間に巣穴を知られたので引越しをしているのだと気づき、リラは落胆する。続いてリラは木の上で待つ作戦に出た。そこから双眼鏡を覗いていると、ハリネズミがリラのパンを食べ始める。リラはそれを見て、パンできつねをおびき寄せることを思いつく。作戦は成功し、きつねはパン屑に誘われ姿を現すが、リラを見ると森の中へ姿を消した。夏。きつねはリラから食べ物を取っては去っていったが、その距離は縮まっていた。その内、リラはその場でうたた寝をする。そして目を覚ますと、きつねがリラを見つめていた。リラはきつねに、おちびちゃんという意味の“テトゥ”と名付けた。テトゥはゆっくり歩き出し、リラを森の様々なところへ案内した。ところが、最後の鍾乳洞でテトゥは見えなくなる。リラは何とか外に出るが、森はすっかり暗くなっていた。しかし雲の切れ間から月の光が差し込むと、安心して眠ってしまう。翌朝リラが目を覚ますと、傍らでテトゥが眠っていた。秋。すっかり仲良くなったリラとテトゥは、森の中で一緒に過ごすようになった。ある日、リラはテトゥの首にスカーフを巻き、縄を通す。嫌がるテトゥは縄を食いちぎり、森の中へ消えていく。翌日、テトゥがリラの家を訪ねてくる。リラは2階の自分の部屋にテトゥを入れるが、密室状態に恐怖を感じたテトゥは暴れ出し、狼狽するリラの前で悲劇は起こる。