コトバのない冬 2010-02-20
公開:2010-02-20/製作:2008年
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解説
俳優の渡部篤郎が初監督に挑んだ異色の人間ドラマ。北海道の小さな町を舞台に、ほんの少しの時間だけ記憶を失った女性と言葉を発しない男性の交流をつづる。変化のない日常を幸せに生きるヒロインを務めるのは、『忠臣蔵外伝 四谷怪談』『長い散歩』の高岡早紀。渡部篤郎自身が相手役を務め、広田レオナや鈴木一真など一癖ある俳優が脇を固める。しんしんと雪の降る静かな時間を切り取り、リテイクなしで俳優たちの自然体を映し込んだ演出に注目。
あらすじ
北海道の小さな町、由仁町。黒川冬沙子(高岡早紀)は、この町で父の遼一(北見敏之)と単調な毎日を送っていた。それでも彼女は、それなりに幸せな生活に、おおむね満足していた。ある日、夕張まで買い物に出かけた冬沙子は、偶然に門倉渉(渡部篤郎)という男性に出会う。言葉を話すことができない渉だったが、自分の勤め先である遊園地へ冬沙子を案内する。この出会いは、2人のこれまでの日常に心地よい変化をもたらす。単調な毎日の中に生まれた暖かな感情。そんなある日、冬沙子は仕事先の牧場で落馬事故に遭ってしまう。幸い大きな怪我もなく、彼女の生活はすぐにいつもの日常に戻る。何一つ変わらず、周りには愛する家族や友人がいた。そして、赤いジープで走り慣れた美しい道を走る。こうして彼女は、雪の町でまた平凡な毎日を過ごしていた。そうして、いつものように車を走らせる冬沙子。その時突然、心の片隅に何かを感じる。それが何なのか、彼女にはわからなかった。だが、事故の時、医者にこう言われたことを思い出す。“ほんの少しの時間だけ、あなたは記憶を失っています。”雪の小さな町で、失われた小さな記憶の行方は果たしてどこに……?