岸和田少年愚連隊 望郷 1998-09-26
解説
「岸和田少年愚連隊」のシリーズ3作目で、今回は主人公の小学校時代を郷愁あふれるタッチで描いた作品。監督は前作「血煙り純情篇」も手がけた三池崇史。1969年、岸和田市。小学校6年生のリイチは喧嘩に明け暮れる毎日。今日も喧嘩して傷だらけで帰ってきたリイチに家族はケガの心配もせず、父親は勝ち負けを気にし、母親は機嫌よくコップ酒をすすめる始末。そんな家族に嫌気のさしたリイチはある日、家を飛び出し悪友・小鉄、ガスと旅に出ることにするのだが……。
あらすじ
1957年、東の果て・岸和田にひとりの赤ん坊が生まれた。名前は中場リイチ。ごんたくれのお父んが麻雀でリーチをかけた時につけた名だ。そんなリイチが小学校6年生になった1969年は、アポロが月面に着陸するなど、まさに激動の時代だった。そして、リイチもまた時代にとり残されたような町でケンカや悪さに明け暮れる激動の少年時代を送っていた。頭の中はいつも男と女のモジャモジャのことで一杯、酒を飲んでは授業中に吐き、急遽家庭訪問にやってきた美人の伊藤先生の前では平気で親子喧嘩を始める始末。ある日、ストリッパーのアケミを連れて酔って帰ってきたお父んに愛想を尽かしたお母んが家を出て行ってしまった。平然としているお父んとお祖父んに、リイチも家を飛び出して伊藤先生のアパートへ押しかける。ところが、彼はそこで先生が恋人のことで悩んでいる姿を見て、立派な男になることを決意すると、悪友の小鉄とガスと3人で四国の足摺岬へ修学の旅に出るのだった。しかし、あまりの遠さにあっさり断念。家出していた筈のお母んに迎えにきてもらうことになってしまう。何かでかいことをしなければいけない。リイチは、川でクレヨンを探す小鉄のボケた祖母のために夏休みの工作を始めた。一等の金賞にはクレヨンが授与されるのだ。宿敵・定を丸め込み、大きなアポロの模型を完成させたリイチたちは見事金賞を勝ち取る。しかし、賞品のクレヨンを渡そうとした時、祖母は既に亡くなった後だった。年が明けて1970年、リイチが脅迫したお陰で(?)伊藤先生も恋人とうまくいっているようだ。そんな時、東京で学生運動に参加していたお父んがふらりと家に帰ってきた。しかしその後すぐ、またしてもお母んが家を出て行ってしまう。「男と女モジャモジャはまっこと分からない。何度同じことを繰り返すのだろうか」そんなリイチも、やがてチューボーとなった。何も変わらないようで、リイチも岸和田も何かが確実に変わりつつあった…。