玄海つれづれ節 1986-01-15
解説
吉田兼好の随筆『徒然草』を原作とする現代劇。「オーディーン 光子帆船スターライト」の笠原和夫と「本日ただいま誕生」の下飯坂菊馬、そして兵頭剛による脚本を「パリの哀愁」の出目昌伸が監督した。音楽は「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」の星勝が担当したが、テーマ音楽は「バイオニック・マーダラー」のマーク・ゴールデンバーグが作曲した。主演は吉永小百合と八代亜紀。
商社社長の山岡駿介は事業に失敗し、数億円の負債を残し行方不明となってしまう。屋敷を追い出された妻のゆきは、夫が外で作った子供マサルとともに、駿介を追って九州へ向かう。借金取りにつかまりソープランドへ売られそうになるゆきだったが、同級生でおもちゃ職人の竹田に助けられ事なきを得た。土地の顔役である松藤が銀映館という古い映画館を取り壊しスーパーを建てようとしていることを知り、ゆきは借金の取り立て人である緑川月代を映画プローデューサーに仕立て、銀映館の経営者の南條京太郎から権利書を騙し取り松藤のもとへと向かった。
あらすじ
横浜、山岡家の女主人ゆきは、旅行鞄一つで邸から追い出されようとしていた。外国商品を扱う商社の三代目社長である夫・駿介が事業に失敗。数億円の負債を残して蒸発してしまったのだ。ゆきの前に、ケースワーカーが駿介が外で産ませた子・マサルを連れて来た。母親が急性の心臓病で亡くなり、駿介を頼って来たという。また、借金取り立て人、緑川月代がゆきに近づいてきた。月代の言葉で駿介が九州に行ったことを知ったゆきは、マサルと共に向かった。彼女は生まれ故郷のバタバタ横丁を訪れ、ハナエの家に身をよせることになった。テキヤのおもちゃ職人で同級生の竹田一平は、未だにゆきを慕い続けており、駿介探しを手伝うことになる。ある日、ゆきの前にサラ金の取り立て人が現われ、彼女をソープランドに売りとばしてしまう。だが、竹田の助けを借りて逃亡に成功。マサルの預金通帳を見つけたゆきは、それで借金の一部を返済した。ゆきの耳に、近くの銀映館という映画館の話が入ってくる。士地の顔役、松藤が、古い建物を壊し近代的なスーパーマーケットを建てるために、子会社のサラ金を使って立ち退き工作をやっているが、往年の夢をもう一度と願う銀映館の経営者、南條京太郎が応じないというのだ。ゆきは月代を映画プロデューサーに仕立て上げ、念願の時代劇を製作するということで南條から銀映館の権利書をだまし取る。そして、その権利書を持って松藤のもとに向かう。そのことを知った竹田は激怒。半分やけっぱちで月代と同棲を始める。そんな時、ゆきは夫の駿介と出会う。駿介は借金で蒸発したのではなく、人に頼られて働きバチのように働くことに嫌気がさして、逃げ出したのだと告白した。そして、今は福岡の大峯病院の理事長である俊江の庇護を受けているという。ショックを受けたゆきが得たものは、バタバタ横丁の人々の人情と、竹田と月代の友情であった。ゆきは松藤と南條に全てを打ち明け、銀映館の権利書は無事、南條のもとへ戻った。しかし、映画づくりに夢破れた南條は、町の人々に映画の前売券を買ってもらい、一日だけの満員の映画館でかつて自分が主演した時代劇を上映する。翌日、南條は銀映館の土地を大峯に売り渡し、姿を消した。ゆきは大峯俊江に会いに行く。俊江は駿介と正式に離婚することと、マサルを引き渡すことを条件に土地の権利書を渡すという。マサルと別れることはつらかったが、ゆきは離婚届けに判を押した。土地は暫く何もしないという約束で、松藤のものとなった。だが、翌日から工事が始まる。騙されたと知ったゆきは、松藤に掛け合うが出張とかで会わせてもらえない。ゆきを心配した竹田は、松藤のしきる賭場へ乗り込むが、八百長がばれ、腕を切られるか、家の権利書を渡すかと迫られる。月代と共に駆けつけたゆきは、自分の体を張って、バタバタ横丁を守った。