ペンギンズメモリー 幸福物語 1985-06-22
解説
1984~85年、サントリーの缶ビールのTVCMに登場して人気を博した、愛らしく擬人化されたペンギンキャラクター。そんな彼らを主人公にした、完全オリジナルの劇場アニメーション。
過酷な「デルタ戦争」からの帰還兵(ペンギン)のマイク。彼は地元の英雄と祭り上げられるものの、ひそかな戦争後遺症に苦しんでいた。そんなある日、マイクは歌手志願の少女ペンギン・ジルと出会い、互いに心を通わす。歌手の夢を目指して精進するジルはデビューのチャンスを掴み、都会でマイクとともに暮らしたいと願う。だがマイクは自分の病身を憂い、ジルの重荷にならないかと懐疑。さらにジルの婚約者を自称する医師ジャックの登場もあって、マイクはジルの前から身を退こうとするが。
登場人物の全員が可愛いペンギンだが、映画内容はアメリカ青春映画のオマージュで構成された異色の作品。物語の随所に、現実のベトナム戦争を体験したアメリカ青年の苦悩とそして彼らの再起を応援する送り手の念が見出せる。主題歌と挿入歌は松田聖子が担当。主人公マイクのCVは、俳優・佐藤浩市が熱演した。
あらすじ
マイクはデルタ戦争で心身ともに傷つき、ただひとり故郷に帰って来た。家族や町の人々の歓迎ぶりが心に重いマイクは旅に出る。どこに行っても心は晴れなかったが、ふと乗り込んだバスが着いた先はレイクシティという明るい街。公園で子供たちに歌を教えている美しい娘の笑顔と楽しげな光景は、マイクの心を明るくした。マイクはレイク市立図書館員募集の貼り紙を見て、そこで働くことになる。ある日、マイクの前に公園で歌を教えていた娘ジルが現われた。ジルは大病院の院長の娘で歌手になることを夢見ていたが、ジルの父は自分の病院の優秀な外科医ジャックに嫁がせようと思っている。マイクとジルはデートを重ね、お互いの愛を確認しあう。ジルにチャンスがめぐってきた。レストラン・オハラという店のマダムの紹介で、レコード・プロデューサーと会いオーディションを受けることになったのだ。ジルは審査員たちの心を魅了した。マイクはジャックから、ジルは親も認めた婚約者だと告げられ身をひく決心をする。ジルはマイクに歌手としての晴れの舞台に一緒に行って欲しいと懇願するが、マイクは今の暮しを捨てられないと断る。ジルはマイクと歌の間で悩む。そんな時、マダム・オハラがジルの母親であることが判明した。マダムは昔、歌手になるために夫と子供を捨てたのだった。マイクはジルのためにチンピラとケンカし、街を追放されることになる。そんなマイクの前にジルが現われ、二人は一緒に旅立っていく。