ルビーフルーツ 1995-01-21
解説
斎藤綾子の同名恋愛小説集の中の一編『神々の熱い夜』を、君塚匠が脚色・監督したラブストーリー。槇美桂恵が共同で脚色を担当。撮影は「河童」の長谷川元吉が務めた。
恋人を病気でなくした彫刻家の松永まい子は、二人で行くはずだったバリ島へ一人で到着し、空港でキョウコという女性と出会った。キョウコはバリで行方不明となった高橋やを代を捜してほしいと、写真とブレスレットをまい子に手渡した。その写真を見た観光案内人ムリアリの母は、被写体がジャングルの奥地に住み恐ろしいパワーを秘めたシラニだと教えてくれた。またマジック・マッサージ師のサユリからは、シラニが人魚の肉を食べて永遠の命を授かったと聞き、ますます興味を強めるのだった。
あらすじ
女流彫刻家・松永まい子は恋人・加賀美久男を病気で亡くし、傷ついた心を癒すために、彼と計画していたバリ島への旅行を一人で実行する。ところが、空港に到着したまい子は、キョウコという女性にバリに行ったきり行方知れずになってしまった女性・やを代を捜し出して欲しいと頼まれ、写真とブレスレットを渡される。見ず知らずの他人からの依頼を何故か断りきれなかったまい子は、それらを預かってバリへ向かった。バリでは観光案内人・ムリアリが彼女を名所の数々へ案内してくれるが、まい子はやを代のことが気になって仕方がない。そんな時、偶然その写真を見たムリアリの母親が、それはジャングルの奥地に住むシラニだと教えてくれた。だがシラニは非常に恐ろしいパワーを秘めた女性で、近づけば不幸なことが起こるともいう。さらに、まい子は旅の疲れを癒そうと寄ったマジック・マッサージのマッサージ師・サユリに、シラニは人魚の肉を食べて永遠の命を授かったのだという話を聞かされ、否応無しにやを代への興味を募らせる。彼女はムリアリの止めるのも聞かず、ジャングルの奥地へと入って行った。そこにはシラニの魅力に取りつかれ、永遠の命を与えられた三人の女・ヨシミ、ルナ、ミミがいた。彼女たちはシラニとともに“心の快楽と肉体の恍惚”を求めて、夜な夜なその体を貪りあっていた。そんな様子を見せられショックを受けたまい子に、シラニは自分がまい子を求めていたこと、そしてそれを現実のものにしてくれたのがキョウコであることを話した。この信じ難い不思議な運命の糸に操られているような思いに駆られながらも、まい子は次第にシラニの魅力に取りつかれ、ついに彼女と体を重ねてしまうのだった。シラニを愛してしまったまい子は、彼女を東京へ連れ戻し一緒に暮らそうと説得するが、シラニはそれを聞き入れようとしない。その上、三人の女たちにまい子はシラニを殺す運命にあると教えられたまい子は、いよいよもってシラニを自分だけのものにしたい衝動に駆られるのだった。キョウコから受け取った包みの中にナイフを発見したまい子は、まるで何か見えない力に操られるようにシラニを刺す。赤い血を流しながらまい子の腕の中で息絶えるシラニ。そして、ナイフに着いたその血を嘗めたまい子は、永遠の命を得た。悪夢のようなバリでの経験を引きずりながら東京へ戻ったまい子は、急な腹痛に襲われた後、自分のお腹の中に生命が宿るのを感じるのだった。