わすれな草 2017-04-15
公開:2017-04-15/製作:2012年
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解説
ドイツの映画監督のダーヴィット・ジーヴェキンクが、認知症になった母親と自宅で献身的に介護をする父親の様子を記録したドキュメンタリー。理性的で活発だった母親の様変わりした姿や夫婦が寄り添って生きる様子を捉えながら、かつてドイツとスイスで社会主義活動に身を投じ、互いの自由恋愛を認めていた夫婦の人生を対比させる。家庭で介護を行うことの難しさ、尊重し支え合う夫婦や家族に心を打たれる。
あらすじ
認知症になった母グレーテルの世話を手伝うため、ドイツ・フランクフルト近郊の実家へ帰ってきたドキュメンタリー作家のダーヴィット・ジーヴェキング。父マルテは、長年妻を介護してきたが、さすがに疲れてしまったらしい。放送局に勤務し、番組の司会者も務めたグレーテルは、1966年、マルテと結婚。その後マルテと共に社会主義ドイツ学生連盟(SDS)の活動に参加。この活動によりドイツの大学での職を追われたマルテとともに、政治的な活動に没頭するようになる。だが2005年、彼女の記憶力減退が明らかになり、その後日々の活動が次第に制限され、2008年にアルツハイマー型認知症と診断された……。それから4年。ダーヴィットは母の世話をしながら、昔からの親友であるカメラマンと共に、母と過ごす最期の時間を映像に記録する。理性的だった母は、病によってすべての抑制から解放され心の赴くまま自由に過ごしているように見える。自分が若返った気になった母はダーヴィットを夫だと思い込み、父が思わず嫉妬する。かつてはドライで個人主義的に見えた父と母の夫婦関係も、いつしか愛情をありのままに表す関係へと変化。記憶を失っていく母の病は、夫婦、家族にとって、新たな“はじまり”となっていくのであった……。
