キャバレー 1986-04-26
解説
栗本薫の同名小説を「上海バンスキング」の田中陽造が脚色し、製作者でもある角川春樹が「愛情物語」に続いて監督した、角川映画十周年記念作品。薬師丸ひろ子や原田知世をはじめ、豪華なゲスト出演が話題になった。
大学のジャズ・サークルに所属する俊一は、本物のジャズの音を求め、大学生活と決別して場末のキャバレー〈スターダスト〉でサックスを吹いている。店の片隅にある指定席で、いつも決まって「レフト・アローン」をリクエストする男がいた。それは菊川組の代貸を務める滝川だった。滝川の暗殺計画をたまたま耳にした俊一が本人に知らせたため、計画を未然に防ぐことができた。こうして俊一は、徐々に組織同志の抗争やキャバレー従業員の人間関係に巻き込まれていくのだった。
あらすじ
矢代俊一は、本物のジャズを求めるために大学生活と訣別し、港町の場末のキャバレー、スターダストでサックスを吹いていた。彼は時々、コンボを組んでいる三流プロの中村(ドラムス)、金(ピアノ)、浅井(ベース)がついて来れないほど燃焼した。上流家庭に育った俊一の自分だけの音を求める姿は、キャバレーのステージにそぐわず、それだけにどこか輝いていた。片隅の指定席で、俊一にいつも「レフト・アローン」をリクエストする男がいた。菊川組の代貸、滝川である。深夜の棧橋で、俊一は滝川を消そうとしている二人組の話を盗み聞いた。この土地にも関東連合の北憂会が進出してきて、菊川組のシマを荒しはじめていたのだ。俊一は滝川に危険を告げた。翌朝、二人組の死体があがった。滝川は小坂井という刑事に、10年前からマークされていた。彼は南部恵という女を呼びだして拳銃を預ける。恵は俊一が尊敬するアルトサックスの天才、南部明の妹で、三年前に別れた滝川のもと恋人だった。俊一はホステスの英子と肌を合せた。英子にとって情夫の刑務所帰りを目前にした必死の恋だった。英子の情夫、安原は、二人の仲を知り、俊一に襲いかかるが、通りかかった滝川の舎弟、章次に殺された。章次は前から英子が好きだったと俊一の前で抱く。俊一はやりきれない気持で朝を迎えた。訪ねて来た浅井は、俊一ごとドルフィンという店にひきぬかれているという。俊一はどうでもいいとOKした。ドルフィンは北憂会の店であったため、滝川は浅井の指をつめさせる。俊一は恵の店、ケイズバーで、小坂井から滝川が10年前、シャブに手をだした舎弟を射った時、ジュークボックスから流れてたのが「レフト・アローン」だということ、その時の滝川のアリバイを恵が主張したことを聞いた。小坂井が帰った後、恵と俊一は寝た。二人が階下へ降りると滝川がいた。彼は近々、北憂会と白江組組長、白江の縁組が行なわれると言い残し、出て行く。滝川が命を捨てるつもりだと察した恵は、警察に10年前の殺しは滝川が殺ったと知らせた。縁組の日、機動隊が見守る中、機動隊の恰好をした滝川が、総長と白江を撃ち殺し、自分も倒れた。