愛情物語 1984-07-14
解説
『あしながおじさん』をモチーフにした赤川次郎の同名小説を、剣持亘が脚色し角川春樹が製作・監督したミュージカル。撮影は仙元誠三、美術は今村力が担当。
仲道美帆はミュージカル「カーテン・コール」に魅せられ、日本人キャスト・オーディションを受けることにする。練習中にトゥ・シューズを破いてしまった美帆は家に帰り、拾われたときに持っていた赤いシューズに足を入れてみた。幼いころ両親に捨てられた美帆は、治子に拾われ育てられてきたのだった。赤いトゥ・シューズがぴったりになったら、毎年誕生日に花を贈ってくれる「足ながおじさん」に会いに行く。美帆は治子と交わした約束に従い一人で金沢へ向かうが、送り主の篠崎に、自分はただ単に名前を利用されただけだと言われ落胆する。
あらすじ
ミュージカル「カーテン・コール」公演、きらびやかな舞台に繰広げられるダイナミックなダンス。その舞台を瞳を輝かせてじっと見入る一人の少女がいた。その少女・仲道美帆は、幼い頃からクラシック・バレエを習い続けていたが、ミュージカルに挑戦しようと「カーテン・コール」の日本人キャスト・オーディンョンを受けようとしていた。オーディションを2週間後に控えたある日、レッスン中にトゥ・シューズを破いた美帆は、急いで家に戻り、古くから大切にしている赤いトゥ・シューズを足に合わせてみた。ピッタリだった。美帆は、3歳の時に今の継母・治子に拾われた孤児である。毎年美帆の誕生日に送り主の名の無いバラが届けられていた。彼女はその送り主を“あしながおじさん”と名付け、実の親ではないかと思っていた。そして、拾われた時から持っていた赤いトゥ・シューズが足にピッタリとあったら“あしながおじさん”を探す旅に出てもいい、と治子と約束を交していたのだ。美帆は花屋をたずね、伝票から花束は長崎で注文されたが送り主は金沢に住む篠崎拓次であることを知る。しかし、金沢で出会った陶芸家拓次は美帆とは無縁の人間だった。“あしながおじさん”は拓次の名を無断で借用していたのだ。だが、あきらめきれない美帆は花屋の伝票をたよりにこのまま長崎へ向うことにし、拓次が土を求め有田を訪ねると聞き、無理矢理同行をきめこむ。無茶なことをするなと諭す拓次だったが、彼女の一途さに打たれ、旅を共にすることになる。実帆は、拓次の姿に“あしながおじさん”をオーバーラップさせ始め、拓次は、美帆に自殺した妹の面影を見い出していた。砥部、有田と続いた旅もいよいよ長崎へ向った。しかし、美帆の元へ送られた花束は匿名の送り主であった。意気消沈し、あてもなく拓次と長崎の町を歩いていた美帆は、写真館のショーウィンドに自分の三歳の頃の写真を見つける。美帆はひとりでその写真の主の屋敷を訪れた。そこで美帆は、主・大森泰三から、美帆の本当の両親が交通事故で亡くなり、大森夫妻がひきとったが、妻・妙子の気がおかしくなったため妙子の親友だった治子に育ててもらうことになったとの経緯を聞いた。美帆は、彼女を待っていた拓次の胸に飛び込んだ。「カーテン・コール」のオーディション、治子と拓次の見守るなか美帆は合格した。そして、「カーテン・コール」のヒロインとして舞台にたつ美帆の姿があった。