暁の挑戦 1971-05-22

公開:1971-05-22/製作:1971年    old
日本
 

解説

 大正時代に実際に起きた鶴見騒擾事件をもとに、フジテレビと新国劇が共同で製作したドラマ。「どですかでん」の橋本忍と「富士山頂」の国弘威雄と「やくざ絶唱」の池田一朗による脚本を「トラ・トラ・トラ!」の舛田利雄が監督した。撮影は「昭和残侠伝 唐獅子仁義」の坪井誠、音楽は「日本女侠伝 血斗乱れ花」の渡辺岳夫がそれぞれ担当。
 大正十四年、川崎市を発展させるため岩田市長が「大工業都市建設計画」を発表した。地元のやくざ酒巻組の倉石は利権を手に入れるため縄張りを広げる。川崎の歓楽街で酒巻組から女郎の秋江を救った焼きガラス職工の正岡と人足の舟木は、酒巻組の埋め立て現場で働くことになるが、酒巻組の相次ぐ悪行に激怒した正岡は、自ら土建業の正岡組を結成し、酒巻組と激しく対立する。酒巻組のもとへは全国からやくざが集まり、両者の対立は川崎市民を巻き込んだ大規模な事件へと発展するのだった。

あらすじ

大正14年、当時の川崎市長の岩田は、葦の生い茂るこの土地を甦えさせるべく「大工業都市建設計画」を発表、工業誘致を進めた。一方、土地のやくざ酒巻組代貸倉石は、計画に伴う工事の利権を一手におさめようと、病床の親分源次に代わり縄張りの拡張を実行した。焼ガラスの職工正岡と、流れ者人足舟木は、川崎の歓楽街で女郎の秋江を酒巻組から救ったことから知り合った。舟木は、この乱闘が原因で工場を追放された。翌日、男の絆で結ばれた二人は職を求めて歩き廻るが、その途中、市役所の職員麻生と知り合い、芸者千代春と姉芸者千代鶴を紹介された。千代鶴は正岡に熱い瞳をむけた。しかし、焼ガラスの職長の娘文子も、正岡に秘かな想いをよせていた。やがて、正岡と舟木は酒巻組の埋立現場の土方として働くことになったが、バクチを利用した悪どい賃金収奪のからくりに激怒し、問題を警察にもちこんだが逆に拘置されてしまった。そこで、宿命の相手倉石と対面、意外にも、彼から焼ガラスの第二工場建設の話を聞き、正岡は工場に戻る。だが、この工事にも酒巻組の横やりが入り、これを請負った小倉大滝組の塚越は杭一本打てなかった申し訳にと正岡の前で割腹自殺をして果てた。正岡は范然と立ち竦むが、ついに自ら土建業正岡組を結成する意志を固めた。その夜千代鶴は愛する正岡の仕事の成功を賭けて、以前から言い寄る倉石に身を任せた。しかし、平岡たちが工事に着手しようとした時、六郷の堤が決壊し、その修理工事は自由入札によって、平岡組にまかされた。それを根にもった酒巻組の手で、千代春の叔父が殺され、平岡と舟木は倉石と対峙して仕事での宣戦を布告した。この事を知った全国のやくざが続々酒巻組に結集し、川崎は不穏な空気につつまれた。平和解決を望む市長の努力も空しく、正岡組の輩下三人が殺され、対峙は頂点に達した。その頃、千代鶴は倉石の命を狙い、逆に手下の手にかかって、薄幸の生涯を閉じた。対決の時がやってきた。工事現場をめざす平岡組。実力で阻止せんとする酒巻組とやくざの集団。さらには、この争いを鎮圧せんとする近衛連隊。おびただしい人の群れが六郷土手をつつんだ。この群集の中で、機関銃を背にひとり不敵な笑いを浮べる倉石。次の瞬間、さしもの強者の倉石の顔からわずかの笑みも消えてしまうような事態が起こった。岩田市長を先頭に、麻生や千代春、女子工員など、川崎市民の大群集が不気味な沈黙のまま、やくざの集団を包囲したのだ。武力では抗し難いと知った倉石は、凍りついた顔で呟やいた。「俺が負けたんじやない。時代が変ったんだ」と。

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