微笑みを抱きしめて 1996-03-22
解説
カナダの児童文学作家ジーン=リトルが著した傑作『パパのさいごの贈りもの』を、「風の子どものように」でもコンビを組んだ関功が脚色し瀬藤祝が監督。同作の音楽を担当した丸谷晴彦も参加している。
退院し家に戻った小学校教師の森田淳は、自分が癌にかかっていることを家族に告げる。母親に捨てられた教え子の篠原志穂が淳に会いに来た。淳は小学五年の息子・翔太に「あの子と友達になってやれ」と言うのだが、学校でいじめられっ子の志穂と友達になることを翔太はいやがる。やがて淳が亡くなり、母の寛子は福祉の勉強をしながら翔太と妹のさや香との三人生活を始めた。父を失った翔太は、母親を探しに行くという志穂の話し相手となり、彼女の力になろうとするのだった。
あらすじ
田舎に帰った翔太は子供のころを回想する。小五の夏休み、翔太は妹を邪魔者にしながら哲夫と遊びまくっていた。翔太のパパ・淳は病院に入院している。やがて退院してきたパパは、自分がガンであることをみんなに告げるのだった。静かなる病気との闘いを隠し持った家族の団欒も束の間、パパはガンが悪化して帰らぬ人となり、悲しみの時期を経て三人家族の生活が始まった。ママが福祉の勉強を初め新しい生活に挑み始めたころ、翔太は教師だったパパの教え子・志穂と知り合いになっていた。志穂はパパを信頼し、またパパも彼女を気にかけていたことを翔太は知っている。翔太はやがて寂しい思いをしている志穂の力になろうとしていった。志穂は母親に捨てられた子供だったが、志穂が同級生から聞いた話を頼りに母親を探しに出かけた時にも、翔太は彼女の話し相手となった。そして翔太は、自分が不安な時にはいつもパパが抱きしめ受け止めてくれたことも思い返していた。新しい生活のため家を売って引っ越しをする日に、翔太や妹のさや香はママを困らせてしまう。この時、実は密かに発していたママのSOSを翔太は感じ、パパに代わってママを受け止めようと思うのだった。そうして時は流れ、成長したさや香がお嫁に行くのを、いま翔太は見送ろうとしている。