雨あがる 2000-01-22
解説
故・黒澤明監督が山本周五郎の短編をもとに書いた遺稿を、黒澤組のスタッフたちが映画化。剣の達人でありながら人の良さが災いし、思うように仕官になれない浪人をユーモラスに描く。堅苦しくなく、見終わった後に爽快な気分になれる良質の時代劇。お人好しの浪人を寺尾聰が好演。宮崎美子、三船史郎、吉岡秀隆、原田美枝子、仲代達矢共演。享保の時代。浪人の三沢伊兵衛とその妻は、長雨のため安宿に居を構えた。ある日、若侍の諍いを難なく仲裁した三沢は、通りかかった藩主・永井和泉守に見そめられ城に招かれる。三沢が剣豪であることを知った和泉守は、彼を藩の剣術指南番に迎えようとするが…。
あらすじ
亨保時代。武芸の達人でありながら、人の好さが災いして仕官がかなわない武士・三沢伊兵衛とその妻・たよ。旅の途中のふたりは、長い大雨で河を渡ることが出来ず、ある宿場町に足止めされていた。ふたりが投宿する安宿には、同じように雨が上がるのを鬱々として待つ貧しい人々がいた。そんな彼らの心を和ませようと、伊兵衛は禁じられている賭試合で儲けた金で、酒や食べ物を彼らに振る舞う。翌日、長かった雨もようやくあがり、気分転換に表へ出かけた伊兵衛は若侍同士の果たし合いに遭遇する。危険を顧みず仲裁に入る伊兵衛。そんな彼の行いに感心した藩の城主・永井和泉守重明は、伊兵衛に剣術指南番の話を持ちかけた。ところが、頭の固い城の家老たちは猛反対。ひとまず御前試合で判断を下すことになるが、そこで伊兵衛は、自ら相手をすると申し出た重明を池に落とすという大失態をしてしまう。それから数日後、伊兵衛の元にやってきた家老は、賭試合を理由に彼の仕官の話を断った。だが、たよは夫が何のために賭試合をしたかも分からずに判断を下した彼らを木偶の坊と非難し、仕官の話を辞退するのだった。そして、再び旅に出る伊兵衛とたよ。ところがその後方には、ふたりを追って馬を駆る重明の姿があった…。