超能力者 未知への旅人 1994-06-11
解説
一介のサラリーマン・タカツカヒカルは、危篤に陥った母親を祈りによって蘇生させた。それ以来、彼自身もよく分からない不思議なパワーは、次々と人々の病を治していく。やがて彼は、己の存在に疑問を抱き始める……。実在の超能力者・高塚光の体験談をセミ・ドキュメンタリータッチで描いた作品。
あらすじ
広告代理店に勤めるタカツカヒカルは、心臓発作で倒れた母の無事を祈るあまり突然体内に電流のようなものを感じた。無意識のうちに母の心臓の上に両手をかざしたところ母に生気が戻った。理由は不明だが、タカツカに他人の病気を治す超能力が突然身についたのだ。それは中国の気功師たちが出す″気″と同種のものであった。仕事仲間のカメラマン・森の重病の姪を同じように手をかざして治し、その一部始終がカメラに収められたことからタカツカは一躍マスコミの寵児となり、不治の病に冒された人々が大挙して押し寄せるようになった。日増しに彼の評判は高まる一方、医師法違反で告訴されたり、妻の明子からは普通の人間に戻ってほしいと訴えられる。塙社長の直々の命令で関東電鉄社長の難病を見事に治したタカツカの評判は政財界の大物たちにも知れ渡り、さる大物政治家の末期癌を治すことに。これまで自分や家族を犠牲にしても多くの病人たちに無償の行為の手を差しのべて来たタカツカだったが、今度ばかりは治したくないと逃げ出す。これ以上他人の運命に関わることに嫌気がさす一方、彼に見捨てられた人々が苦しみ絶望していく姿が脳裏に浮かび苦しむタカツカ。憔悴する彼の姿を見て、明子は病める人を治すことがこの人の生き方だと確信し、夫に中国行きを勧めた。″気″を使う人がたくさんおり国家的規模の研究所もある中国へ行けばタカツカの超能力の本質が見つかるかも知れない。タカツカは決意を固め、中国へ渡っていった。