アカペラ・コーラスの代表的ジャンルのひとつで、50年代に黒人のストリート音楽として誕生した“ドゥ・ワップ”。その音色に乗せて、挫折したひとりの男の再生を描く人間ドラマ。
60年代、美しいアカペラの歌声でアメリカを席巻した伝説のドゥ・ワップ・グループ“ヴィニー&ザ・ドリーマーズ”のリード・ヴォーカル、ヴィンスもいまや50歳。十数年前に妻を亡くした彼は、現在はしがないバーテンダーをしていた。入院している娘の担当看護婦ジョアンと出会ったヴィンスは、たちまち彼女と恋に落ちる。しかもジョアンは、“ヴィニー&ザ・ドリーマーズ”の往年の大ファンだったのだ。なぜ歌わないのかとのジョアンの問いに、ヴィンスの脳裏に苦い過去が甦る。だが、旧友たちと再会した彼は、次第に歌うことへの情熱を取り戻していく……。