ララピポ 2009-02-07
解説
人気作家、奥田英朗の同名小説を映画化した、渋谷を舞台に負け犬たちの日常を描く群像的なエロチック・コメディー。怪しい風俗スカウトマンを演じる『さくらん』の成宮寛貴のほか、芸人である森三中の村上知子や清純派の中村ゆりがAV女優役に挑戦。監督は本作が長編デビューとなる宮野雅之。『嫌われ松子の一生』でメガホンを取った中島哲也が脚本を手掛け、ブラックな人間描写と予測不可能な展開に恐ろしさと笑いがこみあげる。
あらすじ
1000万以上もの人々が行き交う大都会、東京。そこでは、高みを見上げるしかない人間たちが今日も必死に生きていた。栗野健治(成宮寛貴)は23才の風俗専門スカウトマン。昼間は渋谷のセンター街で女たちを口説き落とし、夜は囲った女を部屋に連れ込んでは、一晩中セックスの相手。それもすべて、今までの恵まれない境遇からのし上がるためだった。その階下に住む32才の売れないフリーライター杉山博(皆川猿時)は、栗野の部屋から洩れる女のあえぎ声を盗み聞く。何年も生身の女に触れていなかった杉山だったが、ある夜、居酒屋でロリータファッションの太った女と知り合う。26歳のその女、玉木小百合(村上知子)の夢はアニメ声優。だが現実は、部屋に誘い込んだ男とのセックスを隠し撮り、それを裏DVDとして売りさばく日々だった。もちろん杉山も例外ではなく、醜態をアダルトショップの陳列棚に晒すハメに。その頃、栗野は街頭で声をかけたデパート勤務の20才、トモコ(中村ゆり)との関係を続けていた。これまでになく優しく接してくれる栗野に、トモコはゾッコン。彼に言われるまま風俗店で働き、やがてAV出演へと堕ちていく。カラオケボックスで働く青柳光一(吉村崇)は26才のSFオタク。店ではヘタレ店員だが、部屋では着替えて、スーパーヒーロー“キャプテン・ボニータ”に変身。だが、やっていることは向かいに住む色っぽい人妻の覗き見……。そして近所には、壮絶な臭いを放つゴミ屋敷があった。その住人、佐藤良枝(濱田マリ)は43才の主婦。夫は神経を病んでおり、夫婦の関係は壊れていた。街頭でスカウトマンに声を掛けられた彼女は、欲求不満のはけ口として熟女系AVに出演。もちろんそれは、夫にも娘のトモコにも秘密だった。栗野、杉山、小百合、トモコ、青柳、良枝。やがて6人のダメ人間に、思いがけぬクライマックスが訪れ、無関係だった彼らの人生が少しずつ交錯してゆく。