東京の日 2015-10-31
解説
『東南角部屋二階の女』などの池田千尋監督がメガホンを取り、『おとぎ話みたい』などの趣里をヒロインに迎えたラブストーリー。都会の片隅で何となく日々を過ごす青年と、地方から出てきた真っすぐな女性のほのかな心の交流を撮り上げる。優柔不断だが誰にでも優しい男を、『南風(なんぷう)』などの佐々木大介が好演。彼らのもどかしい恋模様の行方はもとより、東京の風景のもとで描かれる等身大の物語に心が動かされる。
あらすじ
28歳の本田祐介(佐々木大介)は、東京のとあるカレーが評判のカフェで働くアルバイト店員。彼の周りにはいつも人がいるように見える。不思議と自然に人の心にスッと入っていけるような青年だが、誰にも本心を見せることはなかった。そんなただ過ぎゆく毎日の中で、本田はスーツケース一つで上京してきた23歳の女性アカリ(趣里)と出会う。思いつめた様子の彼女を放っておけず、自宅のアパートに連れ帰る。妊娠していると言って一度は出て行こうとするアカリだったが、本田が引き止めるとそのまま部屋で暮らすようになる。アカリの作った料理を一緒に食べ、出勤までの時間を共に過ごし、次第に夫婦のように仲睦まじくなってゆく2人。やがてアカリはスナックで働き始める。スナックのオーナー、未知子(香川京子)やママのハルミ(渡辺真起子)から、アカリのことをあれこれ尋ねられる本田だったが、うまく答えることができない。そんなある日、イベント会社で働くかつての同級生・観野(佐藤岳人)から本田に転職の誘いが。ちょうど、カフェは店長の波子(浅野千鶴)が過労で休業中。その間に、少しずつ将来について考え始める。一方、アカリの気持ちにも変化が訪れ、スナックで酔っ払ったある日、不倫が理由で故郷を飛び出してきたこと、本当は妊娠していないことなどをぶちまける。さらにある晩、本田の女友達のゆか(田中佐季)から本田との関係を問い詰められ、出て行くことを決意するアカリ。東京という街で出会った2人。相手に対する想いは愛なのか。もしもそうであれば、お互いにどう受け止めるのか……。