色即ぜねれいしょん 2009-08-15
解説
イラストレーター、作家などマルチに活躍するみうらじゅんの自伝的青春小説を『アイデン&ティティ』の田口トモロヲが映画化。ロックな生き様にあこがれながらも、平凡で退屈な日々を過ごす文科系男子高校生のひと夏の成長物語を描く。主演は、2000人を超えるオーディションから選ばれた高校生バンド黒猫チェルシーの渡辺大知。共演には23年ぶりの映画出演となる堀ちえみ、リリー・フランキー、くるりの岸田繁らが集結。涙と笑いでつづる若者たちの不器用な青春が共感を誘う。
あらすじ
1974年、京都。仏教系男子校に通う高校一年生の乾純(渡辺大知)は、おかん(堀ちえみ)とおとん(リリー・フランキー)に何不自由なくかわいがられて育ってきた。だが、ヤンキーたち体育会系が幅を利かせている学校では肩身が狭く、ボブ・ディランに憧れてロックな生き方を目指しているが、何かに反抗する勇気もない。その上、小学校の頃から片思いの同級生・足立恭子(石橋杏奈)には告白すらできず、平凡で悶々とした日々を過ごしていた。そんなある日、純は同じく文科系男子の伊部と池山から隠岐島への旅に誘われる。彼らによると、隠岐島のユースホステルにはフリーセックス主義者が集まるらしい。数日後の深夜、重いギターケースと旅行バッグを手にした純は、待ち合わせ場所の京都駅でタバコに火をつけ、ロックミュージシャン気分に浸っていた。合流した伊部と池山に「ギターなんてずるい」とからかわれながら、夜行列車とフェリーを乗り継ぎ、浮かれ気分で隠岐島へと向かう。ところが、ユースホステルに到着してみると、想像よりはるかにショボいその外観に3人はがっかり。しかし、大きな夢を熱く語るヘルパーのヒゲゴジラ(峯田和伸)や、母親以外の女性で初めて仲良くなった女子大生のオリーブ(臼田あさ美)たちとの自由で気ままな時間が3人を魅了していく。そして知らず知らずのうちに、夏の旅は3人の絆も深めていった。結局、フリーセックス主義者はひとりも見つけられなかったが、いくつもの出会いと別れを経験した3人は少し大人になれた気がしていた……。夏休みが明けて二学期。学校も何ひとつ変わっていなかったが、純の中には何かが芽生え始めていた。自由を感じた島での時間、オリーブとの再会、ヒッピー風家庭教師(岸田繁)からの妙なアドバイス、そして授業で初めて意味を知った“色即是空”という言葉に後押しされ、純は文化祭のコンサートに出演することを決意する……。