日本の夜と霧 1960-10-09

公開:1960-10-09/製作:1960年    old
 

解説

 大島渚が石堂淑朗とともに書いたシナリオを監督。安保闘争や学生運動を描き、公開四日目にして上映打ち切りとなった問題作。大島渚はこの作品がきっかけで松竹を退社した。
 安保闘争で結ばれた野沢と玲子の結婚式。二人はかつて学生運動で戦っていた。そこへ逮捕状の出ている全学連の太田が乱入し、国会に向かったまま消息を絶った後輩の北見の話を始めた。さらに会場に現れた宅見の口から、自ら命を絶った高尾の過去が告げられる。党からスパイの嫌疑がかけられた高尾は、党の方針転換に抗議すべく自殺したのだった。さらに野沢と、友人の妻の美佐子との関係まで暴露され、玲子は式場を出てしまう。玲子を追って外に出た太田は、その場で刑事たちに取り囲まれた。

あらすじ

霧の深い夜、新安保闘争で結ばれた野沢晴明と原田玲子の結婚式が行われた。野沢はかつて破防法時代には学生運動の指導をし、今は新聞記者をしている。六・一五の夜、野沢は傷ついた玲子と北見を介抱する後輩の太田に会った。北見は十八日夜、国会に向ったまま消息を絶った。--式場には仲人の宇田川夫妻、破防法では共に火焔ビン闘争に参加した友人の中山・美佐子夫妻らが出席した。太田は同志である北見の失踪をよそに、幸せな生活に入ろうとする玲子をなじった。太田には六・一五の逮捕状が出ていた。ハンガリー民謡を歌う色眼鏡の青年が入って来た時、式場からは結婚の幸せな空気は消えた。闖入した青年宅見は一同に、十年前--学生たちが火焔ビンで破防法と闘っていた頃のある霧の深い夜、中山たちの学生寮に若い男が忍びこんでいたのを捕った。男は逃げたが、そのきっかけを作ったと疑われたのが、かつてハンガリー民謡を口ずさんでいた高尾だった。高尾はスパイとして党の査問委員会にかけられ、中山と美佐子の結婚式の夜、自殺した。美佐子への愛、火焔ビン闘争に対する非難と運動方針の転換などもその原因らしかった。--式場では運動の犠牲者高尾の死の真相が明るみに出るにつれ、野沢と美佐子の過去の関係まで暴露された。破防法阻止運動の失敗、今度の新安保闘争では北見が行先不明となって戦列を離れてしまった。何の進歩もなかった、このことは玲子を責めることでもあった。現在の互いの立場から糾弾しあう一同。北見を求めて外に出た玲子を太田が追った。その太田を刑事たちが逮捕する。表に出てくる一同。外からはデモ隊の騒がしい音が聞こえてくる。宅見たちはデモに参加するために立ち去る。野沢と玲子を始め残された者に向かって、中山は彼らを批判し党の方針に沿った教条的な演説を始める。それを聞く一同の顔には陰鬱な表情が浮かんでいるのだった…。

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