大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇 2011-05-14
解説
岸田國士戯曲賞、三島由紀夫賞など、数々の賞に輝く人気劇作家・前田司郎の小説を映画化したハートウオーミング・コメディー。新婚にもかかわらず倦怠(けんたい)期のような雰囲気の夫婦が、愛と情熱を取り戻すべく奇想天外な旅に出掛けるさまを描く。『太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男』など、硬派な作品への出演が続く竹野内豊がコメディー映画に初挑戦。竹野内ふんする主人公の妻を水川あさみが演じる。何げない会話やシチュエーションに笑いを織り交ぜる独特の作品世界に注目だ。
あらすじ
大木信義(竹野内豊)と咲(水川あさみ)は、長い同棲生活の末、なし崩し的に結婚してしまった新婚カップル。新居に引っ越してみたものの、気分は一向に盛り上がらず、見当たらない炊飯ジャーを巡っていつものように痴話喧嘩を始める。そんな中、近所のスーパーに買い物に出かけた咲は、不気味なコート姿の“濡れた男”(柄本明)とすれ違う。男が懐に隠し持っていた白い物体に目をとめると、それは咲たちの炊飯ジャーのようだ。あわてて男の後を追いかけるが屋上に出たところで姿を見失ってしまう。そこには点々と続く水たまりと、その先に黒く澱んだ水を湛える小さなバスタブがあるばかりだった。屋上から階段を下りて怪しげな占いコーナーの前を通りかかると、咲は占い師の女(樹木希林)から「探し物?」と声をかけられる。「探し物なら地獄にあるわよ」と渡されたのは、何と地獄ツアーのチラシ。翌日、興味に駆られた信義と咲は再び占いコーナーを訪れる。胡散臭げではあったが、炊飯ジャーの行方を知っているらしい占い師に誘われるまま、地獄ツアーに申し込む羽目に。一泊二日の旅支度を整え、集合場所の屋上にやってくると、ガイドの但馬(片桐はいり)が例のバスタブが地獄の入口だと指し示す。冗談半分で汚れた水に手を入れた信義は、あれよあれよという間にバスタブに吸い込まれ、咲も仕方なくその後を追うのだった。地獄にやってきた二人は、絶対に振り返ってはいけないという一本道で振り返り、その結果、地獄をさまよい歩くことになってしまう。得体の知れない“赤い人”(でんでん)に襲われたり、青い肌の美少女・ヨシコ(橋本愛)と出会ったり、やっとたどり着いたホテル“いいじま屋”ではいいじま(荒川良々)から訳の分からない案内を受けたり、奇妙キテレツなことばかり。果たして二人の新婚“地獄”旅行はどうなるのか。そもそも“地獄”とは一体何なのか。そして、二人は失いかけた情熱と笑顔を取り戻すことができるのか……。