ときめき海岸物語 1984-08-04
解説
朝間義隆が脚本(堀本卓と共同)と監督を務めた青春映画。
日本でも有数のサーフィンのメッカとして知られる南紀州の新宮。地元の高校生である高岡と星野は、都会から来たマナーの悪いサーファーたちの車をパンクさせたりナンバーを曲げたりして、隣の漁港に住む山口と意気投合。三人で食堂に集まりサーフィンの話で盛り上がった。高岡と星野はサーフィン全日本選手権への出場を勧めるが、母子家庭の山口は母親と自分の仕事を理由に断念する。食堂の一人娘で山口に想いを寄せる春江は、離婚した母に引き取られ大阪へ移ることになり、山口に「好きだった」と告白し町を去っていった。山口は整備工場に転職し働いていたが、社長と口論し工場を辞め、湘南で行われるサーフィン大会への出場を決意する。
あらすじ
南紀州・新宮。ここは全国でも有数のサーフィンのメッカだ。シーズンともなると各地からサーファーが集まってくるが、都会サーファーたちはマナーが悪く、浜は汚すし、住民に迷惑をかける。地元の高校生サーファー仲間の高岡と星野は隣の漁港・太地からやってきた山口と協力して彼らの車のタイヤをパンクさせたり、ナンバープレートを曲げたりと仕返しをする。これをきっかけに高岡と星野は、すっかり山口と意気投合した。その後、彼らはたまり場である食堂「つたや」に集まっては、サーフィンに対する熱い思いを語り合うのだった。この食堂の親父・杉本宏造の一人娘・春江は、山口に対して心魅かれていく。高岡と星野は、プロ級の腕を持つ山口に、湘南で行われるサーフィンの全日本選手権大会に出場するように推めるが、母親が旅館の女中をしており、自らも漁師として母子家庭の生計をたてている山口には、そんな暇も金もない。山口の仕事であるハエナワ漁も大都会の近代企業の波が押しよせさびれるばかりで、彼は転職して高木モータースの整備工として勤めるようになる。仕事に打ち込むようになっていく山口であったが、心はサーフィンが出来ず淋しかった。そんなおり離婚をして、今は大阪にいる母親・阿部節子に、春江が引き取られていった。高校に行けず苦労している春江を思って大阪の女子高に通わせるのだという。春江は「山口君が好きだった」と囁く様に言葉を残して去っていった。一方、山口は高木モータースの社長と口論し整備工場をやめてサーフィン大会へ出場する決意を固めた。山口の特訓が、高岡、星野らの協力で始まった。そんなある日、春江が突然帰って来た。高校での成績もおくれを取り戻す事が出来ず、母親の「勉強! 勉強!」という言葉にもついていけなかったのだ。湘南の大会が近づいて来た。先輩・立中に励まされ、春江、高岡、星野らの見送りを受けて故郷を後にした山口は、汽車の窓から春江に愛を告白する。彼の前には大いなる波が待ち受けていた。