ムーンライト&ヴァレンチノ 1996-10-05
解説
故で最愛の夫を失う。呆然自失の彼女はしばらく何も手につかず、親友のシルヴィ、彼女の務める大学で学ぶ妹ルーシーに慰められる。継母アルバータも現れるが彼女と姉妹とはしっくりいっておらず、なにかと緊張が絶えない。ルーシーは一向に母に心を開こうとせず、神経症のきらいもあった。シルヴィも夫との間に倦怠を抱えていた……。原作戯曲と脚色を、ブロードウエイを代表する劇作家N・サイモンの愛娘エレンが手掛けている。
あらすじ
詩人で大学講師のレベッカ(エリザベス・パーキンス)の夫が自動車事故で死んだ。近所に住む親友のシルヴィ(ウーピー・ゴールドバーグ)が何とか慰めようとし、妹のルーシー(グウィネス・パルトロウ)も駆けつけた。だがレベッカが本当に頼ることができたのは、皮肉なことに不仲の続く継母のアルバータ(キャスリーン・ターナー)だった。天文学者だった夫の友人たちや父(ジョゼフ・ソマー)も集まり、故人の想い出を話し合うなかで、レベッカだけは何か悲しみとは違う違和感に襲われていた。未亡人となった彼女を気づかって、シルヴィやルーシー、それにアルバータまでが度々彼女を訪れ、一緒に出かけたりする。だが彼女たちもそれぞれ自分の悩みを抱えていた。シルヴィは夫との仲が冷めきっていた。ルーシーは自分の容貌へのコンプレックスから恋人ができない。有能な企業重役のアルバータだが、私生活では自分の優しさを表現できず、夫とも離婚していた。彼女はレベッカの誕生日のプレゼントに家の塗替えを頼み、レベッカは逆に反感を感じてしまう。だがやって来たのが以前から彼女たちがセクシーだと噂していた近所に住むペンキ屋(ジョン・ボン・ジョヴィ)で、ヴァレンティノという妙な名の犬を連れたこの男の純朴な魅力に、特にレベッカは心が揺れる。レベッカの教え子スティーヴンがルーシーに夢中になる。恋愛に躊躇していたルーシーだが、レベッカに貴女は十分に綺麗よと励まされ、ついに初めての恋愛に乗り出した。一方レベッカもペンキ屋と男女の仲になるが、突然彼を拒絶する。彼女はシルヴィ、妹、継母に、夫との最後の夜のことを打ち明ける。彼女は子供が欲しいという彼の気持ちを拒絶したのだ。アルバータの提案で、四人の女たちは夜中の墓地に出かけ、蝋燭を燃やし、思い思いに仮装し、そして自分の胸の内を語りはじめた。ルーシーがアルバータに冷たいのは、いつも亡き実母を慕っていたからだ。そしてアルバータは二人の娘を愛しながらも、プライドから優しく接することができなかったのだ。彼女は二人の亡き母に語りかけ、助けを請う。レベッカは亡き夫に別れを告げた。雨が降り注ぐ中、4人の女はそれぞれの本当の人生に向けて歩み出した。