悪魔の手毬唄 1977-04-02
解説
文明社会から隔離され、古い因習がいまも力を持つ鬼首村(オニコベムラ)。村に伝わる手毬唄。その歌詞に見立てた殺人事件が発生する。事件解決を依頼された金田一耕助。やがて、事件の背後に村を二分する二大勢力、由良家と仁礼家の存在が浮かび上がってくる。金田一は真犯人を見つけ出すため、失われた手毬唄の秘密を追うが……。石坂浩二の金田一耕助シリーズ第二弾。
あらすじ
古い因襲に縛られ、文明社会から隔離された岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた鬼首村(オニコベムラ)。青池歌名雄は、葡萄酒工場に勤める青年。歌名雄には、由良泰子という恋人がおり、仁礼文子もまた、歌名雄が好きであった。この由良家と仁礼家は、昔から村を二分する二大勢力であった。しかし、二十年前に、恩田という詐欺師にだまされ、それ以来由良家の、勢いはとまってしまい、逆に仁礼家が前にもまして強くなった。その時、亀の湯の源治郎、つまり歌名雄の父親が判別のつかない死体でみつかった。この事件を今も自分の執念で追いかけているのが磯川警部。磯川は、ナゾをとくために、金田一耕助に調査を依頼する。金田一は、最初に恩田と特にかかわりがあった多々良放庵に会う。その頃、村では大騒ぎ。というのも、別所千恵が、今では人気歌手・大空ゆかりとなり、今日はその千恵の里帰りの日であった。その晩、千恵の歓迎会の時に、第一の殺人事件が起きた。泰子が何者かによって殺されたのだった。そして、泰子の通夜の晩、葡萄工場の発酵タンクの中に吊り下げられて死んでいる文子を発見。この二つの殺人事件には、この地方につたわる、手毬唄の通りに行なわれていることを金田一は発見。そして、文子の通夜の晩、犯人は、千恵に入れかわっている里子を殺してしまう。この犯人は、青池リカで、里子は、母親が犯人であることを知り、千恵の身がわりになったのである。金田一の捜査により、恩田と源次郎は同一人物であることがわかる。そして、恩田=源次郎は、千恵、泰子、文子の実の父親であった。リカは、それらの娘たちと血のつながる歌名雄をいっしょにできないと思い娘たちを殺してしまったのである。リカは、犯行を自供後、沼に入って自殺を測る。