紀子の食卓 2006-09-23
解説
海外でも高い評価を得ている鬼才、園子温が放つ衝撃作『自殺サークル』の続編。生きる実感を求め、レンタル家族にはまる娘たちと、その行方を追う父親の行動を通し家族のあり方や「本当の自分とは?」と問いかける。娘を案じサークルの真相に迫る父親役を、ベテラン光石研が好演。人間の本質を究極的に描いた本作は、第40回カルロヴィヴァリ国際映画祭で日本人初の特別賞賛賞と国際シネクラブ連盟ドン・キホーテ賞のW受賞を果たした。
あらすじ
島原紀子(吹石一恵)は平凡な女子高生。妹・ユカ(吉高由里子)、新聞記者の父・徹三(光石研)、母・妙子の4人家族。紀子は田舎でくすぶっている自分や、家族との人間関係に苛立ちを感じていた。そんな中、“廃墟ドットコム”という全国の女の子が集まるサイトを見つけた紀子は、そこで「ミツコ」と名乗り、ハンドルネーム「上野駅54」や他の仲間たちと知り合う。彼女たちとなら何でも分かり合えると感じた紀子は、ある夜、家出して東京へ向かう。東京で紀子は「上野54」ことクミコ(つぐみ)と知り合い、彼女が経営する<家族サークル>とも言えるレンタル家族の一員となる。そこで紀子は「ミツコ」として<娘>の役割を演じながら、本物の<家族>との関係、本当の<自分>との関係を実感していく。2002年5月26日、新宿駅8番線プラットホームから女子高生54人が、ホームへと一斉に飛び込んだ。その謎を解く手がかりを、妹・ユカは“廃墟ドットコム”の中に発見する。女子高生54人が集団で自殺した次の日、54の赤い丸が増えていたことから、姉・紀子が54人の中にいるのではと想ったユカは、“廃墟ドットコム”の秘密をもって東京へ消える。ユカの失踪から2ヵ月後、母・妙子は自殺してしまう。徹三は、紀子とユカの消息を追ううちに、“廃墟ドットコム”のことを突き止めていた。紀子もユカも彼らの組織<家族サークル>の一員だと知った徹三は、友人に頼んでクミコを母親役、紀子とユカを娘役だとして指名し、クローゼットの中に隠れて彼らを見守る。彼らは、かつての幸せな家族団欒を取り戻すことができるのだろうか。