鰯賣の猿源氏(中村勘三郎)は、五條橋で見かけた傾城蛍火(坂東玉三郎)に一目惚れ。恋の病を患い、自慢の売り声にも力が入らない。そこで、猿源氏の父・海老名なあみだぶつ(坂東彌十郎)は、猿源氏を大名に仕立て、蛍火のいる揚屋を訪れることを提案。恋焦がれる蛍火を目の前に、夢見心地で盃を交わす猿源氏。だが、酔いつぶれて蛍火の膝の上で寝入り、寝言で“伊勢国に阿漕ヶ浦の猿源氏が鰯買うえい”と自慢の売り声を上げてしまう。それを聞いた蛍火は、猿源氏の正体を問い詰めるが……。