サラリーマン忠臣蔵 1960-12-25
解説
「秋立ちぬ」の笠原良三が脚本を書き「ああ女難」の杉江敏男がメガホンをとった。撮影は「東海道駕籠抜け珍道中」の完倉泰一、美術は「悪い奴ほどよく眠る」の村木与四郎、音楽は「ああ女難」の神津善行。本作だけでは話が完結せず、翌年に公開された「続サラリーマン忠臣蔵」に続く。東宝サラリーマン映画100本を記念して製作された。
アメリカから経済使節団を迎えるための会議の席上、丸菱銀行頭取の吉良剛之介は、若狭産業の桃井社長から贈り物の兜が偽物であることを指摘され激怒するが、赤穂産業社長の浅野卓巳になだめられる。使節団到着当日、吉良は遅れてきた浅野を罵倒し、逆に浅野に殴り倒されてしまう。浅野は接待委員をクビにされ、ショックのあまり帰り道に自動車事故で命を落とす。赤穂産業の社長にはメインバンクの頭取である吉良その人が就任し、浅野派の重役たちを次々に左遷。残された社員は大石専務に決起を促すのだが、大石は一向に立ち上がろうとしなかった。
あらすじ
丸菱コンツェルンでは、同財閥で招待したアメリカ経済使節団の到着を明後日にひかえ、その準備に大わらわだった。本社では足利直義会長を中心に、赤穂産業社長浅野卓巳、丸菱銀行頭取吉良剛之介、若狭金属社長桃井和雄ら十八社の社長たちが集った。接待委員長吉良と委員桃井は贈物のことで論争し、浅野になだめられた。その夜、浅野はヨーロッパに出張する専務大石良雄の壮行会に出席した。席には浅野の愛人で芸者の加代次も加わった。帳場では秘書早野寛平と専務の運転手寺岡平太郎が待っていた。寛平には寺岡の妹でタイピストの隆子という恋人がいた。会が終って大石は浅野と懇談し、加代次との結婚をすすめた。若狭金属の角川専務は、桃川社長が吉良と口論したのを聞き、会社に災難がふりかかるのを思って吉良に彼の秘書伴内を通じて時価三百万円のヒスイを献上した。吉良はご満悦、が、加代次が浅野を好きだと知って、浅野を憎んだ。使節団がきた--式場に遅れてきた浅野を吉良は罵倒した。こらえかねた浅野は松のロビーで吉良を殴打した。浅野は接待委員をクビになり、足利会長から謹慎を命じられた。傷心の浅野は会場を出て自動車事故で急死した。赤穂産業の後任に吉良が乗りこみ、小野寺部長、吉田課長は左遷され社内の空気は一変した。そこへ帰国した大石は何故かバー祇園にいりびたりだった。血気にはやる社員の堀部安子。赤垣、竹林、磯貝らは怒った。早野は辞表を出した。大石のしてきた契約は吉良が破棄した。大石は息子力と大野常務の娘小奈美との縁談を吉良に妨害されて遂に腹をきめた。外国商社との契約を個人契約に切換え、新会社設立にふみきった。吉良社長就任披露宴の席に、大石は小野寺、吉田、原、吉岡らとともに、吉良に辞表をたたきつけた。