大地と自由 1996-11-16
解説
K・ローチ監督がスペイン内戦を描いた作品。デヴィットが参加したスペイン・アラゴン地方の前線には、世界中から若い男女が集まっていた。塹壕での戦いの日々。そんな中、デヴィットは同志の女性兵士ブランカに好意を抱く。この戦いを通して労働者と農民による革命を成功に導こうとするブランカと、内線をただ単純にファシズムという悪を倒す為の戦いと捉えているデヴィット。しかし、戦いを続けるうちにバルセロナで多くの市民が共産党によって粛清されるのを見て、仲間だったはずのスターリン主義者の裏切りを知ってゆく……。
あらすじ
90年代。英国、リヴァプール。ある老人が急死。彼の孫娘(スーザン・マドック)はその遺産を整理していて、30年代の手紙や写真、新聞の切り抜きの束を見つけた……。36年、失業中の青年デイヴィッド・カー(イアン・ハート)はスペイン内戦で人民戦線・共和国側に立って戦うためにスペインに渡った。デイヴィッドの部隊はある村を激しい戦闘の末解放。ある日。彼の目の前でアイルランドから参戦したクーガンが戦死した。村人たちはファシスト側に密告をした司祭を処刑する。解放された村では、共産化について議論が沸騰。デイヴィッドは亡きクーガンの恋人ブランカ(ロサナ・パストール)をいたわるうち、二人にはほのかな愛情が芽生えた。戦友デイヴィッドは訓練中に旧式の銃が暴発して負傷し、後方の病院へ。退院したデイヴィッドはバルセロナでブランカと再会し、愛し合う。だがデイヴィッドがPOUMを離れて正規の共産党軍に入ったことを知り、ブランカは去った。バルセロナでは人民軍内の対立が激化し、デイヴィッドは心ならずもファシストではなく、同じ人民の側にいるはずのCNT(全国労働連合)と銃火を交わすことになる。さらに正規軍内の民兵への激しい偏見を知り、幻滅した彼は共産党の党員証を破り捨て、POUMの仲間たちの所に戻った。部隊は激しい戦闘のなか陣地を死守。援軍が来るはずが土壇場の退却命令、そして傷つき、疲れ切った彼らを待っていたのは、共産党主導の正規軍による武装解除、そしてリーダー各連中の逮捕だった。中央の権力闘争でPOUMが敗れたのだ。軍の将校のひとりは、かつての仲間ローレンスだった。怒りを抑えて銃を捨てる民兵たち、だが最後まで銃を持ち続ける男を止めようとしてブランカが走ったとき、正規軍の銃口が火を吹く。デイヴィッドはブランカの遺体をその故郷に届ける……。リヴァプールで亡くなったデイヴィッド・カーの葬儀。孫娘は祖父の戦いがまだ終わっていないことを感じていた。