真夜中の向う側 1978-03-18
解説
S・シェルダンの初期のベストセラーの映画化。第二次大戦を皮切りに、不遇な暮らしを送っていた女が、数奇な運命を経て大富豪の夫人にまで昇り詰めていく様を描いている。シェルダンの原作はいつも陳腐なので映画化には不向きで、この作品も大作の器を持ちながら内容的には大コケだった。
あらすじ
1939年第二次大戦が始まった年、フランスはマルセイユ。ノエル(マリー・フランス・ピジェ)は家が貧しく、衣裳店で住み込みで働いていた。だがここの主人ランション(ソレル・ブック)に身体をゆるしてしまう。そんな彼女は間もなく、モデルになるため、パリに上京し、そこでアメリカ空軍中尉ラリー(ジョン・ベック)と会う。やがて恋におちた2人は共に生活を始めるが、ラリーの休暇は終わり、2人は3週間後にあるレストランで再会を約束した。そして3週間後、ラリーの姿はそこにはなかった。彼は戦死したのであろうか--。悲しみにくれるノエルはファッション・モデルになった。そして妊娠していることを知り、自らハンガーで妊娠中絶を行なうノエル。その後、彼女はゴーモン映画スタジオ入りし、翌1940年6月、パリはドイツ軍の手におちる--。一方、アメリカはワシントン。大学を卒業したキャサリン(スーザン・サランドン)は秘書になるため、フレーザー(クルー・ギャラガー)のPR会社に入る。そして翌年、フレーザーが軍のPR映画を作るのでハリウッド入りしたキャサリンは、そこでラリーと出会い結婚した。他方、ラリーの不実を恨むノエルは、スウェーデン大使館を通じ、ラリーが今、生きて戦争に参加しており、結婚していることも知る。やがて、彼女は、アルマン(クリスチャン・マルカン)という製作者に身をまかせ、映画の主演の座を獲得してスターとなった。やがて、終戦となる。ノエルはラリーのことを探偵社の手を借りてさらに調べ、彼が今職をさがしていることもつきとめた。そんなスターでもあるノエルに目をつけた男がいた。ギリシアの貧家生まれで、今は国家的大富豪のデミリス(ラフ・ヴァローネ)だ。ノエルは間もなく、彼の女になる。そして彼から誕生日のプレゼントにおくられた自家用機のパイロットにラリーをやとった。ラリーは初め、自分のやとい主が、以前、自分の捨てた女であることに気がつかなかった。そして、ノエルはそんな彼をいじめる。でもチューリッヒでのある夜、2人の恋は再び燃え上がった。ラリーに結婚を迫るノエル。でもラリーは、キャサリンがなかなか離婚に応じないと考えていた。そして彼は、キャサリンを亡き者とするために、鍾乳洞に連れ出すが、結局失敗におわる。また、ある嵐の夜、ノエルはラリー夫婦のバンガローまでやってきて、ラリーをおどす。悩んだラリーは切羽つまり、キャサリンにノエルとのことを打ち明けようとするが、キャサリンは外へとび出し、水かさを増した川の中へ行方不明になってしまった。やがて、ラリーとノエルが、キャサリン殺害容疑で法廷に立つことになる。そして、今、ノエルの不貞を知ったデミリスはあらゆる権力を駆使して2人を有罪にし、2人は銃殺刑に処せられた。今、愛と憎しみの恋に一生をささげた恋人達の最期の時がすぎようとしていた--。そして数日後、ある海岸を歩く2人の姿がみられた。それはデミリスと、あのキャサリンであった--。