甘い生活 1960-09-20 LA DOLCE VITA

公開:1960-09-20/製作:1959年    old
イタリア,フランス
 

解説

イタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニの代表作の1つで、ゴシップ紙の記者の目を通し、1950年代後半の退廃したローマ上流社会を絢爛に描いた作品。作家を夢見てローマにやって来た青年マルチェロは、現在はゴシップ紙の記者として享楽的な日々を送っていた。彼はナイトクラブで出会った大富豪の娘と一夜を過ごし、取材したハリウッド女優と狂宴を繰り広げる。そんなある日、友人家族を訪ねたマルチェロは安らぎに満ちた彼らの生活を羨むが、友人は子どもを道連れに無理心中してしまう。絶望感に苛まれたマルチェロは、狂乱の渦へと身を投じていく。主演のマルチェロ・マストロヤンニは本作で一躍世界的スターの座へ駆け上がった。第13回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞。1960年製作・公開。フェリーニ生誕100年を記念した「生誕100年フェデリコ・フェリーニ映画祭」(2020年7月31日~8月20日=東京・YEBISU GARDEN CINEMAほか)で4Kデジタルリマスター版が上映。

あらすじ

作家志望の夢を抱いてローマに出た青年マルチェロ・ルビーニ(マルチェロ・マストロヤンニ)は、今は社交界ゴシップ専門のトップ屋となった。憧れた都は退廃と無気力以外の何ものでもなかった。カトリックもキリストの像をヘリコプターで運ぶなど、華やかな示威をした。豪華なナイトクラブでは、ローマの大富豪の娘マッダレーナ(アヌーク・エーメ)にめぐり会った。場末の夜の女の宿でマルチェロと一夜をすごすことも、彼女にとってはほんの気まぐれだった。郊外のわびしい家に帰った時、マルチェロは同棲中の愛人エンマが服毒して苦しんでいるのを見た。しかし悔いる気持も永くは続かなかった。彼はハリウッドのグラマー女優(アニタ・エクバーグ)を迎えると、野外で狂乱の宵を過し、名所トレーヴィの泉で戯れた。ローマ地方の郊外で奇蹟が起きた。再び聖母出現の日の聖地はテレビ・カメラに包囲され、奇蹟にあやかろうと横たわる病人の上に豪雨が降りそそいだ。日頃マルチェロのため悩みの絶えぬエンマは熱狂して信じた。二人は友人スタイナー(アラン・キュニー)の家を訪れ、調和と安らぎに満ちたその生活を羨んだ。或る夜、豪壮な館のパーティーに出たマルチェロは、虚脱したように歓楽をむさぼる貴族たちの仲間入りをした。スタイナーは死んだ。子供を連れた無理心中だった。平和に見えた一家のこの悲劇の深さはマルチェロの残った夢をすべて消した。その場限りの快楽の他に今の彼は何を望んだろう。やがて海に近い別荘でこの世のものとも思えぬ乱痴気騒ぎの狂宴がくりひろげられた。マルチェロは自ら狂乱の中に没入した。夜明け方、人々は快楽に疲れ果てた体をひきずって海辺に出た。波打ち際に打ち上げられた怪魚は、腐敗し悪臭を放ち、彼らの姿そのものだった。彼方から顔みしりの少女ヴァレリアが何か叫んでいる。その声は波に消されて彼の耳には入らない。真実の生命の清純さに溢れる少女に背を向けて、マルチェロは砂浜を別荘の方へと戻って行った。

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