自由戀愛 2005-09-03
解説
大正初期の東京。天真爛漫な明子と聡明で控えめな清子は、女学校の同級生として明るい未来への希望を胸に青春を謳歌していた。それから数年後、磐井商会の次男・磐井優一郎の妻となり、何不自由ない生活を送る明子。ある日彼女は、清子が嫁ぎ先の家を飛び出し、離縁したことを知る。清子を不憫に思った明子は、翌日清子の実家を訪れ、優一郎の会社で働けるよう取り計らったことを告げる。しかし、明子の無邪気な同情心は、清子の心を深く傷つける。そんな中、面接の席で顔を合わせた清子と優一郎は、一瞬にして惹かれ合ってしまうのだった…。
あらすじ
大正初期、東京。華やかで革命的な空気のなか、「職業婦人」という言葉が生まれ、その新しい生き方が女学生たちの憧れとなっていたこの時代、明子(長谷川京子)と清子(木村佳乃)は女学校の同級生として、青春を謳歌していた。天真爛漫で陽気な明子、地味で控えめな清子、女学生たちは皆、男子に養われるのは恥辱である、「自由戀愛」を貫こうと声高に誓い合った。数年後―。かつて「職業婦人」を謳っていた少女たちは、見合いにてそれぞれ嫁いでいった。明子は磐井商会の次男坊・磐井優一郎(豊川悦司)の妻となり、何不自由ない幸せな生活を送っていた。ある時、明子は銀座で、女学校の同級生であった千鳥(瀬戸カトリーヌ)と再会し、清子が離縁したという噂を耳にする。一度嫁いだものの、亭主に妾がおり、家を飛び出したのだ。清子を憐れに思った明子は、親切心から夫の会社の事務職に就けるよう取り持ってやる。翌日、さっそく清子の実家を訪れる明子。明子は清子のみすぼらしい姿を見かね、面接用にと自分の豪奢な着物を差し出した。明子の無邪気な行為は、清子の自尊心を深く傷つけ、憎悪の念を生ませる結果となった。鏡に映った清子には、今までにない華やかさが生まれた。一枚の着物が、地味で目立たない清子を妖艶な魅力を持つ一人の女へと導いてゆく。面接のため磐井商会を訪れた清子は優一郎と対面する。優一郎は明子とは正反対の魅力を持つ清子に強く惹かれ、清子もまた、誠実で野心家である優一郎に親愛の情を抱いた。たった一枚の着物が、三人の人生を大きく狂わす分岐点となったのだった。三人の運命は、予想もしない方向へと転がってゆく。