立入禁止区域・双葉 ~されど、我が故郷~ 2012-03-17
解説
東日本大震災後に起きた福島第一原子力発電所の事故により、立入禁止区域となった福島県双葉郡の現状を追ったドキュメンタリー。震災直後から現地に入り取材を続けてきた双葉出身の佐藤武光監督が、今もなお避難所や仮設住宅での生活を余儀なくされている住民たちの苦悩を映し出す。ナレーションは女優の市原悦子。震災の傷跡や無人と化した町の様子に言葉を失うとともに、原発事故により故郷を追われた人々の姿に胸が締め付けられる。
あらすじ
2011年3月11日に発生した東日本大震災、これに続く福島第一原発事故の勃発……。故郷・双葉を心配した佐藤武光は、友人たちに連絡を取りつつ、カメラを携えて動き出した。辿り着いた現地の検問では、“俺は双葉の出身で、故郷に戻るから、自己責任で入る”と答えて突進。その眼に飛び込んだ凄まじい情景に言葉を失う。友人たちとも会って話すうちに、あることに気づいた。“地元の状況が地元の人たちに知られていない”。ならば、自分の記録した映像で伝え、それを広く全国の人々にも見てもらおう……。こうして、取材を続けるうちに見えてきたのは、避難した人々の辛く悲しい心情。猪苗代のホテルに避難した人々の世話に奔走する自治会長。避難所を転々としながら、娘と支え合って暮らす母親。フォーク・シンガーとして歌いながら、将来を探る元原発労働者。立ち入り禁止区域にある自宅に通って放射能測定を続ける住人。これからどうすればよいのか……?考え、悩み、迷い、苦しむ人々。その悲しみと怒り、嘆きに満ちた心の叫びがぶつけられる。それと同時に映し出されるのは、倒壊した街並み、津波の被害で瓦礫と化した住宅地、倒壊を逃れた人家の軒先で飼い主を待ち続ける犬たち、放たれてさまよう牛や牛舎で死んだ子牛……。被災の状況、避難した人々の生活は、テレビや新聞の報道で表面的には紹介されているものの、その根幹に迫ったものは少なく、特に原発事故という我が国初の深刻な事態に直面した人々の心に寄り添うものは稀。また、一般に公開されるものとして“立入禁止区域”の姿を捉えた映像は、貴重な記録である。マスメディアの“取材自粛”という状況の下、様々な壁を突破して原発に隣接する地域の有様、そこに関わる人々の生々しい言葉が、映像で伝えられることの意義は大きい。