ブリキの勲章 1981-05-09
解説
能重真作の原作『ブリキの勲章―非行をのりこえた45人の中学生と教師の記録』をもとに、吉井憲一と横田与志が脚本を書き、中山節夫が製作・監督を務めた教育映画。
平川中学三年五組に、暴力事件を起こして転校を繰り返す根本英雄という不良生徒が編入してくる。担任の木村は生徒たちと協力して英雄を立ち直らせようとするが、英雄は英語教師を殴り、中ランを着て登校するようになってしまう。やがて学外にまで噂が広がり、他校の不良生徒や暴走族が学校に来る始末。木村は身を挺して英雄を守り、英雄はそんな木村に心を開くようになっていた。同じクラスの芦田がパーマをかけた上に脱色して登校し、クラス全員から非難されるのを見た英雄が取った行動とは…。
あらすじ
平川中学の3年5組に、暴力事件を起こしては学校をたらい廻しにされていた根本英雄が転入してきた。受験を前に動揺する生徒たちに、担任の木村先生は彼を立ち直らせるためクラス全体で取りくもうと呼びかける。野良犬のようにキバをむく英雄は、先生やクラスの仲間の言葉を素直に受け入れず、教師集団やクラスメートの懸命の努力が続く。そんな中「みんなの顔をつぶすようなヤバイことだけはしない」と言う英雄。しかし、英語教師に反抗して暴力事件を起こしかけ、制服も非行のシンボル“中ラン”を着てくる。さらにそのうわさを聞いて、他校の不良グループまで押しかけてくる。そんな根本にあきらめずにぶつかる木村先生の情熱に、根本も少しずつ心を開き始め「俺からツッパリを取ったら何も残っていないんだ!」とつぶやくようになる。校内の合唱コンクールでの優勝を目標にしていたクラスの仲間たちもそのことを知り、合唱でみんなで努力することがツッパリに代わる、もっと手ごたえのある本物を見つけることになるのだと、一丸になって頑張るのだった。いよいよ中学校最後の3学期。普段、根本の影にいて目立たなかったもう一人のツッパリ生徒、芦田がパーマをかけてきた。クラス全員から非難され、「こんな学校なんかやめてやる」と言い出す芦田に、以前の自分を重ねあわせた根本は必死で止めようと説得する。その姿を見ていた木村先生はクラスのみんなに言うのだった。「ツッパリなんて、まるでブリキで作ったオモチャの勲章みたいなものだ」と根本は今、自分で理解したのだと……。根本はブリキでなく、本物を見つけて卒業していく。しかしそれは新たな出発でしかない。