逃げてきた花嫁 1956-02-12
あらすじ
浅草の洋品店ひつじ屋の一人息子敬太は酒もタバコも不調法、女は大嫌いという堅造だが、父の源造は酒と女に眼がないという道楽者だ。お隣の電気器具商六三郎夫婦の一人娘珠子はM型の戦後派娘で、ちっとも落ちつかず出歩いてばかりいる。息子の遊ばないのを心配する源造夫婦と、娘の遊びすぎるのを心配する六三郎夫婦が、世話好きな組合長亀之助のもとへ、それぞれ嫁と婿の相談に出かけた。逸早くそれを知った珠子は幼馴染の敬太に「私に任して頂戴」とばかり、胸をポンと叩いた。そして親友の芸者染子をタイピストに仕立て、敬太の愛人だといって源造夫婦に紹介したところ、どうした風の吹き回しか、敬太がすっかり夢中になってしまった。珠子は亀之助の息子光夫と相愛の仲だが、両親がうるさく勧めるので、元男爵の御曹司でW型の花小路春信と見合いをしたのが運のつきで、春信は二百万円の持参金を持って婿に来るといい出す始末だった。敬太の方は一日も早く結婚したいというが、染子こそ源造がかつて芸者に生ませた子と判り、両親は反対した。そんな深い事情があるとは知らない敬太は腹立ちまぎれに、春信との縁談を嫌って逃げて来た珠子と無理解な両親たちを教育するため、熱海へ身をかくした。一方、亀之助、源造、六三郎の三人は染子に事情を打ち明け、敬太を諦めさせる代りに芸者をやめさせようと思うが、身請けの金がなく、花小路家から春信の結納金を借りることにした。だが、すべてを諦めた染子はかねて身請け話のあった関西財閥の堂本と関西に発ったあとだった。もしかすると熱海で一泊するかも知れないという話に、大慌ての親たちは東京駅に向うのであった。熱海に来て一悶着あったあげく染子の持っていた母親の片身から、彼女の本当の父親は春信の父親の花小路元男爵だと判明した。一同が丸くおさまったのはいうまでもない。敬太と染子は結婚し、光夫と珠子も結ばれた。