スイートリトルライズ 2010-03-13
解説
江國香織の同名ベストセラー小説を映画化した、美しくも切ない大人のラブストーリー。夫を大切に思いながらも、別の男性に恋をしてしまうヒロインの心情がつづられていく。監督は『ストロベリーショートケイクス』でも女心を巧みに描いた矢崎仁司。『嫌われ松子の一生』の中谷美紀がテディベア作家・瑠璃子を、その夫・聡を『ハゲタカ』の大森南朋が演じる。ヒロインの複雑かつ繊細(せんさい)な心情を、深い映像美とともに描き出した作品世界に注目だ。
あらすじ
テディベア作家の岩本瑠璃子(中谷美紀)とIT企業に勤務している岩本聡(大森南朋)の夫婦には子供はおらず、今でも恋人同士のような穏やかな雰囲気がある。しかし結婚して数年を迎える2人は自然と肉体関係はなくなり、聡は鍵をかけた自室でTVゲームをする時間が増えている。用事があると携帯電話で聡を呼び出す瑠璃子たちの関係は、聡の妹・岩本文(大島優子)からはおかしな夫婦だと呆れられているが、瑠璃子は自分たちが繋がっていると信じていた。瑠璃子のマネージャー・藤井登美子(黒川芽以)に、非売品のベアを譲ってほしいと電話で懇願していた津川春夫(小林十市)が、瑠璃子のベアの個展にやってくる。瑠璃子は春夫の実直さに心を打たれ、そのベアを譲る。その後2人はレンタルビデオ屋で再会し、恋に落ちる。聡は大学のダイビングサークルのOB会で、後輩・三浦しほ(池脇千鶴)と再会する。聡に好意を寄せるしほは、積極的に聡にアプローチする。聡も次第にしほに惹かれ、デートを重ねる。しほは聡に、伊豆の海にダイビングに行きたいと言う。聡は瑠璃子を連れて伊豆に行き、海に入らない瑠璃子に隠れてしほと体を重ねる。そのころ、春夫も伊豆に来ていた。瑠璃子も春夫と共に時間を過ごす。瑠璃子と聡は伊豆から帰ってからも、何事もなかったかのように過ごしていた。しかし、春夫が恋人の美也子(安藤サクラ)と別れると言い出す。瑠璃子は春夫に、重い口を開く。美也子と春夫は破局を迎えるが、瑠璃子も春夫から去る。一方、聡はしほと関係を続けていた。ある日瑠璃子は、近所の老女・君枝(風見章子)が飼う犬のビンゴが死んでいるのを見つける。瑠璃子と聡はビンゴを庭に埋葬する。その夜、2人は久しぶりに一緒のバスタブに浸かる。2人の間に、静かで暖かい空気が流れる。