飯と乙女 2011-06-18
公開:2011-06-18/製作:2010年
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解説
食べることについて示したブッダの二つの逸話をモチーフに、食にまつわる3組の男女の人間模様をシューベルトの弦楽四重奏第14番「死と乙女」の美しい旋律に乗せてつづる異色物語。『工業哀歌バレーボーイズ』シリーズの栗村実が監督を務め、『名前のない女たち』の佐久間麻由ら実力派キャストたちがブッダの命題に挑む。食べることは楽しみであり、苦しみでもある矛盾を、奇想天外なシチュエーションを織り交ぜながら解き明かす大胆な演出に注目。
あらすじ
砂織(佐久間麻由)は、渋谷のダイニングバーCooでアルバイトをしている。人に料理を作るのが生き甲斐である砂織は、物静かな常連客・九条(上村聡)が、店で一度もモノを食べたことがないのが気になる。砂織は九条に、お土産のカツサンドを渡す。しかし九条は、それを托鉢僧にやってしまう。それを知った砂織は落ち込むが、実は九条は、人の作ったものがどうしても食べられないのだった。店の常連客・美江(田中里枝)は、同棲中の彼氏・小日向(岸建太朗)がまともに働いてくれないストレスで過食症を患い、いつも何かを食べ続けては、トイレで吐いている。ある日、美江は妊娠したことを知り、小日向に迫る。小日向は「俺が食べさせてやる」と答え、その日を境に友人の前から姿を消す。美江は友人たちに、自分が食べたとはぐらかす。美江の勤める小さな事務所の社長・小中(菊池透)には、大食漢の妻・咲枝(岡村多加江)と娘・結美という家族がいた。会社の経営が苦しく、ここ数日何も食べていない小中は空腹に耐えかね、深夜、台所で結美のお弁当を食べてしまう。食べなければ生きられない自分に嫌気がさした小中は、即身仏になろうと段ボールハウスにこもってしまう。