ブルー・イン・ザ・フェイス 1996-03-02
解説
小説家のP・オースターとW・ワン監督が組んだ「スモーク」の続編的作品。ブルックリンの人々の様々な人情劇が繰り広げられたオギー・レンの煙草屋。あるものは悲しみを癒し、あるものは喜びを分かち合った、思い出のたくさん詰まったこの店がなくなるかもしれないという話が持ち上がる。そこでこの最愛の店を救うべく、ニューヨークの妙な人々が続々と集まって来るが……。10分きっかりの各テイクで出演者は即興的演技を披露している。
あらすじ
オーギー・レン(ハーヴェイ・カイテル)の煙草屋《ブルックリン葉巻商会》は、10代の子供が銃を撃ち合うような時代のブルックリンのなかでなお人間らしい関係が残っている場所だ。常連客のジム・ジャームッシュは禁煙を決意し、ついては最後の一本をオーギーと一緒に吸いたいと言う。店のオーナーのヴィニー(ヴィクター・アーゴ)の妻ドット(ロザンヌ)が、夫がラスヴェガス行きの約束を反故にしたとオーギーに愚痴る。オーギー自身も恋人のヴァイオレット(メル・ゴーラム)とコンサートに行く約束の日に別の用事を入れてしまい、彼女は別に女がいるんじゃないかと嫉妬する。ラップに乗せて時計を売る行商(マリク・ヨバ)がやって来る。人種意識の強い彼はイタリア系と黒人の混血のトミー(ジャンカルロ・エスポジート)に言いがかりをつけるが、ヴィニーが出てきてカントリー音楽を歌いだし、みんな笑って丸く収まる。店の前でトミーはブルックリン名物ベルギー風ワッフルを欲しがるルンペン(リリー・トムリン)に会う。また別の日には高校時代の同窓生のピート(マイケル・J・フォックス)が通りかかる。ヴィニーがオーギーに煙草屋を閉店して健康食品の店にすると言いだした、煙草は時代遅れだと言うヴィニー。だがある昼下がり、ブルックリン・ドジャース栄光の42番でメジャーリーグ初の黒人選手ジャッキー・ロビンソン(キース・デイヴィッド)の幽霊がヴィニーの前に現れ、昔ながらのブルックリンの温もりを説く。夫の無関心に業を煮やしたドットは一人でラスヴェガスに行くといい出し、ヴィニーもいっしょに行く。旅先のヴィニーから歌う電報配達(マドンナ)に託した電報が届く。店は売らないという知らせだ。喜んだオーギーとヴァイオレットが店の前で踊りだすと、近所の人達も立ち止まり、しまいには571人が集まる大ダンスになった。それから9か月後、オギーとヴァイオレットに子供が生まれた。一年後、煙草屋に白いスーツで決めたラッパーが来た。これが実は例の時計売り。またヴィニーが歌い、みんながブルックリンを祝福する。