めざめの時 1993-05-21
解説
少年の初恋を描いたメロドラマ。15歳の士官学校生フランソワは孤児で、夏期休暇も頼る所がないので、寂しく寮ですごそうとしていると、この脆弱で苛められっ子の少年をなぜか気に入っている教練官はしばしば彼を家に招くうち、夏の間そこで暮らすよう誘うのだった。教練官にはまだうら若い美しい妻があった。家庭での彼は全くの暴君で、妻に手を上げるのもしょっちゅうだった。少年の彼女への憧れと同情はたちまち愛へと育った。孤独な彼女もいつしか、その想いを積極的に受け入れていった……。
あらすじ
一九四八年のフランス、プロヴァンスの幼年士官学校に通う一四歳の少年フランソワ(グレゴワール・コラン)。孤児のため、貧しい農家で育てられた彼は戦地に駆り出されて死んでしまうのではないかという恐怖にいつも悩まされていた。厳しい学校生活と上級生のいじめに耐えるフランソワの楽しみは日記を書くことだった。彼は強くなりたいと思い、元ボクサーの小隊長ジュリアン(ロラン・グレヴィル)にボクシングを習う。小隊長の家に招待されたフランソワは美しいイタリア女性の妻レナ(キアラ・カゼッリ)と出会う。週末ごとに小隊長宅を訪れるのが習慣化してきたある日、小隊長が外出してしまい、フランソワとレナは二人で川へ遊びに行き、お互いの孤独な心情を語り合った。国語教師の人間の尊厳とは何かを問う授業に感銘を受けたフランソワは恐怖や不正に打ち勝つため自分自身で立ち向かうことを誓った。しかし、レナへの想いが募るフランソワは小隊長を裏切った苦しさに悩む。レナと初めて愛しあった帰途、フランソワは小隊長の転属を知った。彼の後任に就いた小隊長ジョルジュ(マルタン・ラモット)はフランソワを目の仇にしていた。ジョルジュは反抗したフランソワを独房に入れる。独房から逃亡したフランソワは、彼の心情を理解した隊長(ロジェ・プランション)から、退学して自分の道を歩むことを勧められた。その後インドシナ戦争に赴むいたフランソワは、親友ガレーヌ(ヨハン・ルジューユ)を戦いの中で失い、そしてジュリアンもバイク事故で命を落した。戦争が終わり、成長したフランソワはカフェで働くレナを迎えに現れるのだった。