魅せられて四月 1993-06-19
解説
イタリアの古城でバカンスを過ごす、ツアーに集まった4人の女性の変化していく様を描く。1920年代のロンドン、新聞広告を見てイタリアの城を借り切る事を決意した弁護士の妻は、3人の同行者を募り、陽光きらめく彼の地へ赴く。そして互いに見ず知らずだった女たちは、次第に気持ちが通じ合うようになる……。美しい風景の中で、人生に疲れかけていた女たちの心の機微をあたたかく見つめた作品。
あらすじ
夫との愛も冷め、日常生活を無為に送っているロンドンに住む主婦ロッティ・ウィルキンズ(ジョシー・ローレンス)は、新聞に掲載された小さな広告に心を奪れた。--地中海に臨むイタリアの小さな城を四月いっぱい貸します。家具、使用人付き--。ロッティは顔見知りの主婦ローズ・アーバスノット(ミランダ・リチャードソン)を誘い、貸し料六〇ポンドを分担するためさらに同行者を募り、社交界の花形レディ・キャロライン・デスター(ポリー・ウォーカー)と、気位の高い老婦人ミセス・フィッシャー(ジョーン・プローライト)とともに旅立った。陽光に溢れるサン・サルバトーレ城でそれまでの生活から開放された四人は、それぞれの境遇や考え方を超えて親しくなっていった。ロッティは夫メラーシュ(アルフレッド・モリーナ)を呼び、城の持主ブリッグスがローズに会うためにやって来た。そこに突然ローズの夫フレデリック(ジム・ブロードベント)がレディ・キャロライン目当てに現れた。ブリッグスは、夫の出現に喜ぶローズを見て落胆するが、そんな彼にレディ・キャロラインは好意を憶える。夫との愛を取り戻したロッティは、ミセス・フィッシャーの傲慢さの原因が彼女の孤独にあることに気づいた。彼女とメラーシュのやさしい気づかいで、ミセス・フィッシャーはすっかり元気になり、杖もいらなくなった。こうして四月が終わり、生まれ変わった人々はロンドンへと帰っていった。そしてミセス・フィッシャーが庭に突き差していった夾竹桃の杖は、根を張って花を咲かせるのだった。