恋愛小説 1994-12-17
解説
ロシア人監督ヴァレリー・トドロフスキーが、夫と義母の間で抑圧された生活を続ける妻が、やがて自らの欲望に目覚めていく姿を描く。
あらすじ
モスクワ、1992年。カチア(インゲボルガ・ダプコナイテ)は32歳になるタイピストで著名な作家である義母イリナ・ドミトリエバ(アリーサ・フレインドリフ)の書く小説原稿を打つという単調な日々を送っていた。夫のミチア(アレクサンドル・フェクリストフ)も母親の言いなりで冴えない男であった。ある夏、例年のように3人は別荘を訪れ、カチアはイリナの次回作をタイプでうち始めたが、それはヒロインが悲劇的な終わりを告げるラブ・ロマンスであった。その別荘には、管理を任されているセルゲイ(ウラジミール・マシーコフ)が家具の修理のために毎日訪ねてきていた。カチアは夫と義母が留守のある晩、セルゲイの誘惑に身を委ねてしまう。次第にセルゲイに魅かれ初め、その官能的で狂おしい恋はカチアのこれまでの生活を狂わせ始めた。そしてある時、ついに2人が愛し合う場面をイリナに目撃され、口論になるが、突然イリナは心臓発作で倒れ、カチアが故意に薬を飲ませるのを遅らせたため息途絶えてしまう。今や遺作となった恋愛小説をカチアとセルゲイは自分たちで幸福な結末に書き換える。やがて2人の関係は夫のミチアにもばれてしまい激しい口論の末、セルゲイはミチアを殺してしまう。2人はミチアを庭に埋め、ついに2人だけの生活を営めるようになる。しかし、セルゲイはカチアから次第に逃げ出すことを考え始め、他の女のもとに逃げてしまう。カチアはそれを知り、予審判事ロマーノフ(ユーリイ・クズネトフ)のもとにすべてを告白しにいくが罪を与えられる以上に苦しいものである、自由を与えられることになる。そして彼女は最後、セルゲイの女とともに車に乗り込み、橋を暴走し、そのまま河の中に沈んでいった。