みづうみ 2007-04-21
解説
心に問題を抱えながら長い間苦悩してきた人々が、すべてをさらけ出して新たな道を歩き始める姿を描くヒューマンドラマ。『呪怨』シリーズや『輪廻』など名だたるホラー作品で助監督を務めてきた安達正軌監督が、家族をテーマに、希望があれば人間は生きていけるというメッセージを投げかける。主演は『約束の地に咲く花』の吉井怜と『子猫の涙』の藤本七海。重厚な物語りをブラックユーモアを交えて描く監督の演出が光る。
あらすじ
湖に浮かぶボート。向かい合う女性と、少女の姿。彼女は少女に語りかける。自らの命を絶ち、そして永遠にこの美しい湖の底を漂うのだと。<山咲鞆絵>23歳。マンガ家志望のフリー・イラストレーター。婿養子だった父が、変わり者の鞆絵を唯一理解してくれる存在だった。しかし、父は鞆絵が10歳の時に、交通事故で死亡。東京の美術大学に進学。文化祭の時、父親のような存在の藤原と出会い、鞆絵22歳の時に交際をスタート。しかし、1年経つ頃には本当に愛されているか疑問に思い始め、その一方で鞆絵の藤原への愛情は強くなって行く。別れ話もしばしば出てくるが……。<弦巻亜希子>35歳。山梨県出身。現在は調布でひとり暮らし。父は弦巻造園の社長で、植木職人。幼い頃から父の手伝いをする。小学校1年のときに、父が愛人をつくり、消息をたつ。会社の規模は縮小する。定時制の高校に進みながら家業を手伝う。そのうちに母は体調を崩し入院。17歳の亜希子の肩に、母の入院費と会社の経営が重くのしかかる。母退院後、療養も兼ねて、店を一旦閉める。亜希子は、植木屋の修行へ。20歳『弦巻造園』再開。融資してくれた土木会社の社長の趣味に賛同し、猟銃の免許を取得。しかし23歳の時にバブルが崩壊。母名義で、保証人になっていた負債が1千万。母の具合が悪くなり、また入院。亜希子28歳の時に、ついに廃業、母も息を引き取る。土地を手放し、借金返済へ。残った金で、小さな植木屋&花屋を始める。軌道に乗り始めた頃『弦巻造園』の看板を掲げ、長年封じていた猟銃を手に入れた亜希子だったが、ある日封書が届けられる。差出人は『弦巻高市』。中に入っていたのは、3通の督促状と、老人ホームの請求書1年分。ホームに問い合わせると「痴呆が進み、これ以上、ここで面倒見れない」と言われ多額の金額を要求される。借金の返済と合わせて2千万弱。銀行に融資の相談に行った亜希子は、なんとか800万を工面。しかし、それだけでは足りず、徐々に自暴自棄になった亜希子は、遂に死という選択を考え始める……。