その夜のひめごと 1957-09-01

公開:1957-09-01    old
 

あらすじ

日本橋の老舗鰹節問屋遠藤商店の現社長遠藤柳作は、二代目という気楽さから、事業は若い支配人の宮本陽之介に委せ切り、五十余年の今日まで数々の道楽をし続けていた。陽之介は遠藤家の先代が片腕と頼んだ番頭の遺児で幼くして母を失い遠藤家に引取られ、柳作の妻さよに、その一人娘ハル子と共に、実の子同様に可愛がられて育った。ところが、このハル子と陽之介とは毎日のように喧嘩をする。というのも、二人はお互いに好き合っているからだとさよは知っていた。そんなある日柳作は、陽之介が自分の妾を奪ったといって、カンカンになって怒った。この女は玲子といい、柳作は本気で惚れ込んでいるのだ。これを知った陽之介は、遠藤家が不幸になるのを恐れ、自ら玲子のアパートを訪れて、柳作に内証で手を切らせてしまったのだ。その時すでに玲子は柳作の子を宿していた。やがて、柳作の子を生んだ玲子に陽之介は、この母子を不幸にしては自分の責任上許されない、と生れた子は自分の子として育て玲子とも結婚しようと決意した。さよは、この真相をおぼろげながら覚っていた。しかし、ハル子にとっては、陽之介に女が、しかも子供まであるということは大きなショックであった。そして、いまさらながら自分が強く陽之介を愛しているのに気づくのだった。玲子もいまは心から陽之介を愛している。しかし、陽之介が実はハル子の方を愛しているということに気づいた玲子は、自分こそ身を引くべきだと決心。ある夜、アパートを訪れた陽之介に心にもない愛想づかしをいった。だが、陽之介にはそんな玲子の心がよく判った。子供だけは陽之介の子として育ててくれという玲子の願いに、彼は大きくうなずいた。--いまは一切の誤解も解け、玲子の子陽一を抱いたハル子と陽之介の楽しそうな散歩姿が、那須高原の美しい朝の光にみられた。

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